大学修学能力試験

韓国の大学修学能力試験（修能、スヌン）とは

大学修学能力試験（대학수학능력시험、通称：修能、スヌン）は、大韓民国（韓国）において、大学への入学を希望する者が受験する共通試験です。韓国教育課程評価院（KICE）が試験の実施・運営を担い、原則として毎年11月の第3木曜日に実施されます。

試験の概要

修能は、韓国の大学に進学するための最も重要な関門とされており、受験生にとっては人生を左右する一大イベントです。試験の結果によって進学できる大学が大きく左右されるため、韓国の青少年たちにとっては通過儀礼とも言えるでしょう。試験結果を悲観して自殺する受験生も過去には存在しました。

試験は高校の教育課程に沿った内容で構成されており、大学教育を受ける上で必要な能力を測ることを目的としています。試験問題は試験後に公開されますが、再利用されることはありません。大学は、修能の成績に加え、高校が作成する「綜合生活記録簿」（内申書）や大学独自の2次試験の結果を総合的に評価しますが、修能の成績が最も大きな比重を占めます。ただし、その比重は大学や学科、受験方式によって異なります。

試験問題の作成

試験問題は、韓国教育課程評価院が委託した問題作成委員（大学教授や高校教員など）によって作成されます。問題作成にあたっては、厳重なセキュリティ体制が敷かれ、外部との接触が完全に遮断された状態で、約1ヶ月間かけて作題から検討、印刷、実施までが行われます。試験終了後には、試験問題に対する異議申し立てを受け付け、審査後に最終的な正解を発表する制度も設けられています。

試験会場には、高校や中学校が使用されます。受験生は、自分が在籍する高校ではなく、別の高校または中学校で受験することになります。受験会場は男女別に分けられます。

試験の沿革

修能は、「大学の自律性を伸長し、高校教育の偏りを改善する」という目標の下、1991年に発表された新しい大学入試制度によって、1994年度（1993年実施）から導入されました。当初は年に2回実施されていましたが、1995年度からは年に1回の実施となりました。

その後、2001年度には第二外国語領域が追加され、2005年度にはアラビア語が追加されました。2011年度には、予備校などの私教育を抑制し、教育の格差是正、公平化を目的に、問題の70%を韓国教育放送公社（EBS）の教材に連携させる制度が導入されました。2014年度には、国語、数学、英語に対してA型とB型の選択制度が導入されましたが、英語の区分に対しては受験生から不満の声が多く挙がり、2015年度からは廃止されました。また、第二外国語領域に基礎ベトナム語が追加されました。

2017年度には、国語のA型とB型の区分が廃止され、数学のA型（文系）とB型（理系）の区分がカ型（理系）とナ型（文系）に変更されました。また、選択科目だった社会探求領域の韓国史が必須領域で独自の領域に分離され、第二外国語領域の基礎ベトナム語はベトナム語1に変更されました。職業探求領域は5科目の中で1科目を選択することから10科目の中で2科目を選択することに変更されました。

不正行為とその対策

過去には、携帯電話を利用した大規模なカンニング事件が発生し、社会問題となりました。現在では、試験会場への携帯電話やMP3プレーヤーなどの電子機器の持ち込みは厳禁されています。また、シャープペンシルの持ち込みも禁止されています。

試験問題作成の裏側

試験問題の作成には、厳選された高校教師や大学教授などが集められ、外部との接触を遮断された合宿施設に約1ヶ月間缶詰め状態で作業が行われます。施設は内部工事中の建物に偽装され、窓も目張りされます。国家情報院のセキュリティ専門家が全ての通信機器とインターネットを遮断し、警察が道路を警戒するなど、徹底した警備体制が敷かれます。

問題作成者は、市販の参考書などを全て購入し、過去に出題された問題やカリキュラムを逸脱する内容が含まれていないかなどを厳密にチェックします。また、「間違ったものを選べ」「ないものを選べ」といった否定的な問題や、スピードテストにならないように配慮するなど、細かい規制に基づいて問題が作成されます。

問題作成者の報酬は非常に高額ですが、外部との接触が完全に遮断された状態での作業は、精神的な負担も大きいと言われています。

試験当日

試験当日は、受験生が時間に間に合うように、公共交通機関が増便されたり、パトカーや白バイが受験生を緊急輸送したりするなどの措置が取られます。また、英語のリスニング試験の時間帯には、騒音防止のために飛行機の離着陸が調整されたり、工事が中止されたりします。

試験会場周辺には警察官が配置され、警備や交通整理にあたります。試験が行われる高校や、隣接する中学校は休校日となり、官公庁や企業の出勤時間、小・中・高校の登校時間も通常より1時間繰り下げられます。

試験結果

試験終了後約1ヶ月で、受験生に成績が通知されます。成績は、標準点数、百分位、等級（Stanine）などの指標で評価されます。受験生は、これらの成績を基に、最終的な進学希望大学・学部を決定します。

大学修学能力試験模擬評価

大学修学能力試験模擬評価は、韓国教育課程評価院が主管し、当該年度の修能受験資格を持つすべての人を対象に実施した試験です。

まとめ

韓国の大学修学能力試験は、受験生にとって非常に重要な試験であり、社会全体が受験生を応援する体制が整っています。試験問題の作成には厳重なセキュリティ体制が敷かれ、公平性を確保するための様々な対策が講じられています。

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