大学共通第1次学力試験

大学共通第1次学力試験の概要

大学共通第1次学力試験、通称「共通一次試験」は、1979年1月13・14日から1989年1月14・15日までの11年間にわたって実施されました。この試験は全ての国公立大学および産業医科大学を志望する入学希望者を対象とし、基礎学力を測るための全国一斉試験として行われました。主に「共通一次」として知られ、実施は国立大学の共同利用機関である大学入試センターが担いました。

試験の構成

初期の8年間に行われた試験は、国語、数学、理科、社会、英語の5教科から成り、1050点満点のスコア制が採用されました。受験生は試験結果を元に、全国の国公立大学や産業医科大学から1校を選び、2次試験（本試験）を受けるシステムでした。しかし、1987年以降は改善策が取られ、選択できる大学が最大3校に増やされ、受験科目も一部変更されました。最終的には800点満点システムが導入されました。

共通一次試験は、受験にまつわる負担を軽減するとともに、大学の序列を透明化することを目的として始まりましたが、逆に受験地獄を悪化させたり、不当な序列化が進んだという批判も受けました。これにより、1990年には「大学入試センター試験」に名称が変わり、試験方法も見直されることとなります。

導入の背景

共通一次試験は1960年代からの文部省の構想を受け、1970年代に実現に向けた動きが加速しました。特に受験生の負担を軽減することを目標にし、多様な入試問題を解消するために設計されました。1976年には模擬試験も行われ、広くその必要性が認識されました。

試験の実施と評価

共通一次試験が実施されると、受験生は自己採点や他者との情報共有に基づいて戦略を練るようになります。しかし、これにより大学の選択に偏りが生じたり、受験勉強のスタイルに影響を与えました。特に1985年には、新課程への変更に伴う科目選択の問題が顕在化し、教育現場での混乱が指摘されるようになります。

物理や生物学においては受験科目の偏りから評点の調整なども行われたものの、同時に新たな課題も浮上しました。受験生がより高得点を目指すため、予備校に通う現象が広がり、受験産業は急成長を見せます。

終焉とその後

1989年には、共通一次試験導入フレームワークが見直され、大学の入試制度自体に変革が求められるようになりました。その結果、次第に大学ごとの独自性と選抜方式が強調されるようになり、1990年から大学入試センター試験が新たな基準として開始されるに至ります。

共通一次試験は日本における入試制度において重要な役割を果たし、その後の入試制度改革に多大な影響を与えました。この試験は、志望校選択における選択肢の拡大を目指しながらも、同時に新たな課題を突きつけるものでした。

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