大定府

大定府（だいていふ）

大定府は、かつて中国に存在した府であり、遼代から金代にかけて、現在の内モンゴル自治区赤峰市一帯に設置されていました。この地域は、歴史の中でその名称と管轄範囲を変化させながら、重要な役割を果たしました。

概要

1007年（遼の統和25年）に、遼によって七金山土河の浜に城が築かれ、中京と号されました。この時、大定府が置かれ、中京大定府として中京道に属しました。大定府は、大定・長興・富庶・金源・勧農・文定・升平・帰化・神水の9県と、恩州・利州・潭州・恵州・高州・松山州・武安州・楡州・沢州・北安州の10州を管轄していました。この広大な範囲は、当時の大定府の重要性を示しています。

金の時代になると、大定府は北京路に属するようになりました。管轄下には、大定・長興・富庶・金源・恵和・松山・神山・和衆・武平・静封・三韓の11県と、恩化・文安の2鎮がありました。遼代と比較すると、管轄する県の数が増加し、行政区分にも変化が見られます。

モンゴル帝国の支配下に入ると、大定府は北京路総管府と改められました。さらに、1270年（元の至元7年）には、北京路は大寧路と改称されました。大寧路は遼陽等処行中書省に属し、録事司と大定・竜山・富庶・金源・恵和・和衆・武平の7県、そして興中州・義州・瑞州・錦州・利州・恵州・高州・川州・建州の9州を管轄しました。モンゴル帝国による支配は、行政機構に大きな変化をもたらしました。

1380年（明の洪武13年）には、大寧路は大寧府と改められました。しかし、1387年（洪武20年）には大寧府は大寧衛と改められ、軍事的な意味合いを持つ行政区画へと移行しました。そして、1403年（永楽元年）には、大寧衛は最終的に廃止されました。

このように、大定府は遼代に成立し、金代、モンゴル帝国、明代と、時代とともにその名称、管轄範囲、行政機構を変化させながら、この地域の歴史を刻みました。最終的には廃止されましたが、その存在は、当時の政治、経済、文化に大きな影響を与えたと考えられます。

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