大宮智栄

大宮智栄（おおみや ちえい）

大宮智栄（1885年6月1日 - 1984年7月5日）は、明治から昭和にかけて生きた尼僧であり、浄土宗大本山善光寺大本願の第119世法主を務めました。尼公上人として知られ、光照院門跡も兼務しました。また、台湾の北投善光寺を開基し、全日本仏教尼僧法団の初代総裁としても活躍しました。

生涯

1885年、子爵大宮以季の息女として誕生。1897年、12歳で善光寺大本願別院である京都の得浄明院に入門し、当時の住持であった伏見宮誓圓尼公上人（善光寺上人117世）に師事しました。同年10月、誓圓尼公上人のもとで得度。

1900年、善光寺御開帳および大本願本誓殿（本堂）再建工事の上棟式挙行のため、得浄明院から大本願へ転住。1912年3月、27歳で善光寺大本願副住職に就任し、同年、善光寺上人第119世に就任しました。

1914年には明照殿を建立し、「明照婦人会」を設立して総裁に就任。1921年には「大本願婦人相談所」を設立するなど、女性の地位向上や社会福祉に貢献しました。

1932年、台湾の台北州北投に善光寺（北投善光寺）を開基。同年11月、浄土宗より「瑠璃光院殿」の号が授与されました。1938年3月には京都の光照院門跡を兼務し、宮中参内を果たしました。

1945年6月、善光寺初代住職に就任。1947年10月、昭和天皇の戦後巡幸の際、天皇が大本願に宿泊し、拝謁の機会を得ました。1949年5月には貞明皇后が大本願に宿泊された際、歓待しました。

1951年、全日本仏教尼僧法団総裁に就任。1954年4月、善光寺大本願が浄土宗大本山に昇格。1955年、全日本仏教婦人連盟副会長に就任。1958年3月、大僧正に叙任されました。

1959年、大本願法主として47年にわたり、宗風顕彰、寺門の護持・興隆、徳行顕著、教区行政功労に寄与したとして浄土宗から表彰を受けました。1961年1月、全日本仏教尼僧法団総裁に再任。同年10月、善光寺上人第119世を退任し、報告のため宮中に参内しました。

1965年7月、善光寺大本願別院・城泉山観音寺（戸倉上山田温泉）の第1世として住職に就任。1983年には、第119世・大宮智栄上人白寿並びに第120世・一条智光上人喜寿祝賀会が開催されました。

1984年7月5日、99歳で遷化。法名は「瑠璃光院殿明蓮社大僧正玉譽上人霊阿本誓宗圓智栄大尼和尚」。同年9月13日、善光寺大本願・本誓殿にて表葬儀式が執り行われ、全国から約900名が参列しました。

主な役職

浄土宗長野普通教習所所長（1915年～1931年）
浄土宗北信教区布教団団長（1915年～1941年）
仏教婦人救護会総裁（1915年4月）
愛国婦人会特別会員（1921年7月）
愛国婦人会特別維持会員（1923年1月）
長野県連合保護司会顧問（1928年12月、1931年8月）
浄土宗顧問（1955年4月）
浄土宗北信教区布教団名誉団長（1955年8月）
全国青少年教化協議会評議員（1962年11月）

参考文献

「道心」（道心会、1984年8月11日発行）
* 「善光寺上人第百十九世　大宮智栄御遺作集」（善光寺大本願事務局制作、1985年7月発行）

もう一度検索