大宮風俗ビル火災

大宮風俗ビル火災の概要

2017年12月17日午後2時頃、埼玉県さいたま市大宮区の風俗街「大宮北銀座」にあるソープランド「Kawaii大宮」から火災が発生し、建物が全焼しました。この火災では、消防車20台が出動し、鎮火までに約7時間を要しました。当初、従業員女性2名と男性客1名の死亡が確認され、さらに性別不明の遺体が発見されました。その後、重体だった女性従業員が亡くなり、最終的に5名が犠牲となる痛ましい結果となりました。

火災の原因は、2階のごみ置き場からの出火とされています。現場となった建物は、建築基準法改正前の1965年に建てられたもので、築50年以上が経過した老朽化した建物でした。この事件をきっかけに、全国に存在する既存不適格の風俗ビルの問題がクローズアップされました。風俗店の改築や修繕には、風営法による公安委員会の許可が必要ですが、大規模な修繕は店舗の同一性を損なうと判断され、許可されないケースが判例で示されています。このため、老朽化した店舗の修繕が進まないという問題が指摘されています。

捜査と刑事責任

火災発生から1年後の2018年12月20日、埼玉県警察は、この店舗を経営していた男性会社社長と当時の男性従業員3人を、男性客1人に対する避難誘導が不十分だったとして、業務上過失致死傷罪でさいたま地方検察庁に書類送検しました。被疑者はいずれも容疑を認めています。

国と自治体の対応

この火災を受け、総務省消防庁は同年12月18日、全国の自治体に対し、同種の風俗店が入居する建物への立ち入り検査を要請しました。また、埼玉県警察、さいたま市消防局、さいたま市建設局は、大宮北銀座の同種の特殊浴場に対する特別査察を実施し、違反が確認された14店舗に対し、是正指導を行いました。さらに、福岡市消防局も中洲の風俗店に対する特別査察を実施するなど、全国的に同様の火災事故を防ぐための対策が講じられました。

その後の建物

捜査終結後、「Kawaii大宮」が入居していた建物は取り壊され、建て替えられました。そして2022年2月には、新たなソープランドが営業を開始しています。

関連事項

この火災は、雑居ビルにおける火災の危険性を改めて認識させる出来事となりました。老朽化した建築物の安全性、避難経路の確保、そして風俗営業における法規制のあり方など、多くの課題を浮き彫りにしました。

この事件を教訓に、同種施設の安全対策が強化され、再発防止策が講じられることが求められます。

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