大家族

大家族とは

大家族（だいかぞく）とは、血縁や姻戚関係にある比較的多数の人々が、同じ家屋や敷地内で共同生活を営む家族の形態を指します。英語では“large family”や“big family”と表現されます。

構成と拡大家族

大家族が形成される要因は様々です。最も一般的なのは、夫婦と非常に多くの子どもたちで構成されるケースです。しかし、これだけが大家族の形ではありません。親世代の夫婦と、彼らの成人した子どもの世代の夫婦、さらにその子ども（孫）が一緒に暮らすケースや、世帯主の兄弟姉妹とその家族が同居するケースなども大家族に含まれます。

特に、世帯主である夫婦以外の夫婦が同居している家族構成を「拡大家族」と呼びます。大家族の中には、このような拡大家族の形態をとるものが多くあります。

現代日本における実態

現代の日本において「大家族」と呼ばれる家庭の多くは、親世代の夫婦と、その子ども世代のうちの一組の夫婦、そしてその孫で構成される拡大家族の形が主です。かつて一般的だったり、一部の地域や国で見られるような、複数の兄弟姉妹の夫婦や、叔父叔母、甥姪、いとこなどが広範な親族とともに暮らすような大規模な大家族は、現在の日本では非常に珍しくなっています。実家で親と同居する成人した子どもが、まだ学齢期の若い弟や妹と一緒に暮らしている、といった構成が見られる程度です。

歴史的な変遷

大家族は、過去の日本では一般的な家族形態の一つでした。例えば、1920年（大正9年）に初めて実施された国勢調査では、全世帯の約31パーセントが大家族に該当すると推定されています。これは、当時の社会構造や生活様式が大家族を維持しやすいものであったことを示しています。

しかし、その後の社会経済の変化やライフスタイルの多様化に伴い、家族構成は小さくなる傾向が進みました。特に、第二次世界大戦後の高度経済成長期を経て、核家族化が急速に進行します。その結果、2015年（平成27年）の国勢調査では、大家族の割合は約9.4パーセントまで大きく減少しています。このデータは、過去一世紀弱の間に日本の家族形態が劇的に変化したことを物語っています。

広義と狭義の定義

「大家族」という言葉は、文脈によって様々な意味合いで用いられます。狭義では、夫婦と未婚の子どもだけで構成される「核家族」ではない家族全般を指す場合があります。つまり、核家族よりも規模が大きい家族を広く大家族と捉える見方です。

また、必ずしも同じ屋根の下に住んでいることだけが条件とされるわけではありません。物理的な同居がなくとも、精神的な結びつきが強く、頻繁な交流があり、「家族」として意識される人々の集まりが大人数である場合にも、「大家族」と表現されることがあります。

メディアにおける描写

テレビ番組などで「大家族」として特集されるのは、上記のような拡大家族だけでなく、夫婦と非常に多くの未婚の子どもたちで構成される「子だくさん」な核家族であることが多い傾向にあります。「大家族スペシャル」といった総称で知られるこれらの番組は、特定の大家族の日常に密着し、その暮らしぶりを紹介することで視聴者の関心を集めています。

また、大家族を題材にしたフィクション作品も多く存在します。例えば、「天までとどけ」や「好きやねん父ちゃん！」といったテレビドラマ、あるいは漫画作品「うちの大家族」、アメリカのホームドラマ「フルハウス」なども大家族を描いた作品として知られています。これらの作品は、大家族ならではの賑やかさや困難、そして家族間の絆などをテーマにしています。

文化的な側面

歴史的・文化的な側面から見ると、大家族制度が比較的遅くまで残っていた地域も存在します。例えば、岐阜県白川郷の合掌造りの集落では、明治時代頃まで独特の大家族制度が維持されていました。また、海外に目を向けると、中国の客家の人々に見られる伝統的な家族形態も大家族の特徴を持っています。

芸術分野では、ベルギーのシュルレアリスムの画家ルネ・マグリットが、1947年に制作した代表作の一つに「大家族」と題された絵画があります。このように、「大家族」という概念は、社会学的な定義に留まらず、様々な文化や芸術作品の題材ともなっています。

現代社会ではその数は減少傾向にありますが、大家族は多様な構成や背景を持ち、人々の生活や文化に影響を与え続けている存在と言えます。

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