大山慶

大山慶は、1978年に生まれた日本のアニメーション作家、プロデューサーです。インディペンデントレーベルである株式会社カーフの代表取締役も務め、日本アニメーション協会にも会員として名を連ねています。

東京都に生まれ、映像表現の学びを深めた大山は、イメージフォーラム付属映像研究所、東京造形大学を経て、同大学院修士課程を修了しています。特に、東京造形大学での卒業制作として手掛けた短編アニメーション『診察室』は、その後のキャリアを決定づける重要な作品となりました。この作品は、BACA-JA最優秀作品賞、学生CGコンテスト最優秀賞といった国内の主要な賞を受賞。さらに、国際的にも高い評価を得て、アルスエレクトロニカ佳作選出を皮切りに、カンヌ国際映画祭監督週間、ロッテルダム国際映画祭、香港国際映画祭など、世界の名だたる映画祭から正式招待を受け、一躍その名を知られることとなりました。

その後も精力的に作品を発表し、2006年には複数の作家によるオムニバスアニメーション映画『Tokyo Loop』に参加。そして、2008年に愛知芸術文化センターのオリジナル映像作品として制作された短編『HAND SOAP』は、『診察室』に続き、国内外で圧倒的な評価を獲得します。この作品は、オランダ国際アニメーション映画祭最優秀物語作品賞、アニメーテッド・ドリームス・グランプリ、オーバーハウゼン国際短編映画祭映画祭賞、アニフェスト審査員特別賞、広島国際アニメーションフェスティバル優秀賞、横浜国際映像祭優秀賞、文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品など、多数の権威ある賞を受賞し、アニメーション作家としての地位を確固たるものとしました。

2010年、大山はアニメーション作家の和田淳、水江未来、そして研究者・キュレーターの土居伸彰らとともに、日本のインディペンデントアニメーションシーンを牽引する新たな活動拠点として、インディペンデント・レーベルCALF（カーフ）を設立しました。CALFでは、自身の作品制作・発表に加え、他の作家の作品配給や上映企画なども手掛けており、その活動は多岐にわたります。大山自身は設立者の一人として、現在も代表を務めています。

自身の短編作品としては、他に『ゆきどけ』（2004年）や、前述のオムニバス『TOKYO LOOP』に収録された『ゆきちゃん』（2006年）などがあります。テレビ番組では、かつて人気を博した関西テレビ・フジテレビ系『SMAP×SMAP』（2007年）の番組ブリッジ映像を手掛けた経験もあります。また、子供向け番組である『どちゃもん じゅにあ』（2015年 - ）では、アニメーション監督や絵コンテを担当するなど、活動の幅を広げています。

純粋なアニメーション作品以外にも、実写映画とのコラボレーションも行っており、鈴木卓爾監督作品『私は猫ストーカー』（2009年）や『映画 ゲゲゲの女房』（2010年）では、劇中のアニメーションパートの制作を、CALFを共同設立した和田淳とともに担当しました。これらの活動は、アニメーションという表現手法の多様な可能性を追求する大山の姿勢を示しています。

このように、大山慶は自身の作家性の強い短編作品で国内外の映画祭を席巻する一方、レーベル運営や実写映画、テレビ番組への参加など、多角的な視点からアニメーションの可能性を切り拓き続ける、現代日本アニメーション界における重要な存在の一人と言えるでしょう。

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