大岡信

大岡信についての詳細

大岡信（おおおか まこと、1931年2月16日 - 2017年4月5日）は、日本の詩人・評論家であり、東京芸術大学の名誉教授を務めました。また、日本ペンクラブの元会長、一ツ橋綜合財団の理事、日本人初のストルガ詩の夕べにおける金冠賞受賞者でもあります。彼は日本芸術院の会員であり、文化功労者、さらには文化勲章を受章した著名な文学者です。

生い立ちと学歴

大岡は静岡県三島市で生まれました。父は歌人の大岡博であり、彼は文学的な環境に包まれて成長しました。沼津中学に通っていた頃、ガリ版を使用して同人誌を作成するなど、早くから文壇に興味を示していました。彼は旧制第一高等学校を経て東京大学文学部国文科に進学し、在学中には日野啓三や佐野洋と共に同人雑誌を発行しました。

職業と活動

大学卒業後、大岡は読売新聞社に外報部の記者として勤務し、その後明治大学で教職に就きました。この期間に第一詩集『記憶と現在』を発表し、更に『抒情の批判』などの評論を執筆しました。1979年から2007年にかけては『朝日新聞』で『折々のうた』という連載を行い、読者に親しまれました。彼の詩は多言語に翻訳され、国際的にも評価されています。

大岡は詩だけでなく、戯曲や文芸美術評論も広範囲に執筆しており、また、多くの現代美術作家と協力して作業を行ってきました。アートの世界とも深く関わり、武満徹とのコラボレーションで音楽作品を生み出したりしました。彼は文学作品だけではなく、美術や音楽に関する評論も多く手がけ、その視点は多岐にわたります。

受賞歴と文化的貢献

大岡はさまざまな賞を受賞しており、1993年には東京都文化賞、1995年には日本芸術院賞、さらに1996年にはマケドニアの詩祭で金冠賞を受賞しました。彼の文学的貢献は、単に詩や評論にとどまらず、教育者としての側面や国際文化交流の推進にも及びました。

彼の言葉への姿勢は著作にも色濃く反映されており、「文章は、新聞記事の書き方が基本と思っています」との言葉からもわかるように、わかりやすく伝えることを重視していました。また、彼は九条の会に賛同し、マスコミ九条の会の呼びかけ人としても活動しています。

晩年と死

大岡信の晩年は、彼の著作と活動がますます増えていきましたが、2017年4月5日、呼吸不全により彼はこの世を去りました。彼の生涯を通じた多彩な活動は、今なお日本文学や文化に大きな影響を与え続けています。

業績

彼の著書は膨大であり、詩集、評論集、翻訳、戯曲など多岐にわたります。特に『折々のうた』は多くの読者に親しまれ、日々の感覚や思索を詩的に表現する作品として評価されました。また、息子である大岡玲も作家として知られています。

大岡信は、詩を通じて世界の美しさや人間の感情を描き続け、文学界における重要な存在としてその名を刻んでいます。

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