文化功労者

文化功労者とは

文化功労者（ぶんかこうろうしゃ）は、日本において文化の向上や発展に特に顕著な功績を持つ人物に与えられる称号です。これは文化功労者年金法（昭和26年法律第125号）に基づいており、文化人にとっては、文化勲章に次ぐ重要な栄誉とみなされています。

選考基準と手続き

文化功労者の選考は、文部科学大臣が候補者を文化審議会に諮問し、そこで選ばれた者の中から文部科学大臣が最終的に決定します（文化功労者法第2条）。選ばれた文化功労者には、生涯にわたって政令で定められた額の年金が支給されます。具体的には、年額350万円で、これは平成21年度の予算計では約8億円に達します（同法第3条）。

ここで注目すべき点は、選考に国籍の制限がないことです。実際、1978年から2014年にかけて選ばれた受賞者の中には、日本以外の国籍を持つ南部陽一郎（物理学者）、マリウス・バーサス・ジャンセン（日本研究家）、ドナルド・キーン（日本文学者）、王貞治（野球選手・監督）の4人が含まれています。いずれも高い評価を受け、文化勲章も受けている人々です。

受賞者の拡大と分野の多様化

平成時代に入ってからは、文化功労者の選考対象が広がり、様々な分野から著名人が受賞しています。具体例としては、ファッションデザイナーの森英恵（1989年）、将棋の大山康晴・水泳の兵藤秀子（1990年）、アニメーションの宮崎駿（2012年）などが挙げられます。また、2018年以降は福原義春や滝久雄といった財界人も選出されるなど、受賞者の分野が多様化しています。

受章者の数に関しては、2017年までは原則15名だったものの、2018年からは文化芸術基本法の施行に伴い20名に増加し、さらに文化振興やメディア芸術、映画評論といった新たな分野が加わっています。

年金制度の概要

文化功労者年金法は、日本国憲法第14条に定められた「栄誉、勲章その他の栄典の授与に特権を伴わない」との規定を考慮し、1951年に新たに設けられました。この法律により、文化勲章とは別に年金制度が設けられ、実質的に文化勲章年金の機能が持たされることになりました。

年金制度は文化功労者年金法施行令（昭和26年政令第147号）に則り、現在の額は年間350万円として1982年に規定されています。2020年の時点で存命の受給資格者は232人で、総額は約8億円に上ります。

また、受賞者については、年齢を70歳以上とするか、個人の資産状況に基づいて年金支給の可否を判断することが議論されましたが、文部省は特段の制限を設けないまま34名の文化功労者を発表しました。

総括

文化功労者制度は、日本の文化や芸術の向上に寄与した人々を称える重要な仕組みであり、年金制度を通じてその功績が評価されています。その選考基準や対象分野の拡大は、今後も文化人の活動を支える重要な要素になることでしょう。

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