大島 (新潟市)

大島（おおじま）

大島は、新潟県新潟市中央区に属する町字の一つです。この地域の郵便番号は950-0953となります。信濃川の下流部に位置し、特にその右岸側に自然の作用によって形成された高まり、すなわち自然堤防上に広がっているのが地理的な特徴です。

歴史的背景

大島の歴史は古く、江戸時代の初期にまで遡ることができます。具体的には、明暦元年（1655年）に、当時信濃川の下流域に存在していた砂や泥が堆積してできた洲や渚を開墾し、新たな土地を拓いたことが始まりとされています。この開発された土地は「大島新田」と名付けられ、以降、江戸時代を通じてこの地域における集落や農地の基盤となりました。

明治時代に入り、日本の近代化と共に地方制度が整備される中で、大島新田も行政区画の再編の対象となりました。1889年（明治22年）4月1日には、周辺の村々との合併により鳥屋王村が成立し、大島新田の区域の一部が鳥屋王村の「大字」として組み込まれました。これが、現在の大字「大島」の行政上の始まりと言えます。

その後、鳥屋王村は1901年（明治34年）11月1日に村名を「鳥屋野村」と改称しました。これに伴い、大島も鳥屋野村の大字となりました。この時期、特に1923年（大正12年）頃までは、行政上の区分としては「大字大島」となりつつも、古くからの呼び名である「大島新田」の名が地域では引き続き用いられることもあったようです。

昭和時代に入ると、大島の所属する自治体は再び変わります。1943年（昭和18年）5月3日、鳥屋野村が拡大する新潟市に編入されたことにより、大島は新潟市の大字となりました。

近年の変化

戦後の高度経済成長期を経て、特に昭和30年代後半からは、新潟市の郊外化が進み、大島地域でも人口が増加し始めました。これに伴う都市構造の変化や、より体系的な住所表示への移行のため、昭和60年にはこの地域で住居表示が実施されました。

この住居表示の実施により、大島の一部区域が新たな町字として分離・成立しました。具体的には、鳥屋野1丁目から4丁目、そして出来島1丁目から2丁目といった新しい町が誕生し、大字「大島」の範囲が一部変更されました。これは、地域の宅地化や人口増加に伴う都市機能の拡大を反映した動きと言えます。

平成期に入り、2007年（平成19年）4月1日、新潟市が政令指定都市へと移行した際に、新たな行政区として中央区が設置されました。この際、大島は中央区の一部として位置づけられ、現在に至っています。このように、大島は江戸時代の開墾から始まり、近代以降も行政区画の変遷や都市化の波の中で変化を続けてきました。

周辺環境

大島は、その周囲を複数の町字に囲まれています。方角としては、北側から時計回りに、鳥屋野地区や親松地区と隣接しています。また、地域の西側は広大な信濃川に面しており、川を隔てた対岸には、新潟市西区に属する山田地区が位置しています。信濃川という大河が、地域西側の境界を形成しています。

大島は、信濃川がもたらした自然堤防という地形の上に成立し、長い歴史の中で新田開発、行政区画の変遷、そして近年の都市化を経て、現在の姿を形成しています。その歴史は、信濃川と共に歩んできた開発の歴史であり、また、周辺地域の発展と深く結びついた変遷の歴史と言えるでしょう。

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