大崎梢

大崎梢（おおさき こずえ）は、日本の小説家であり、推理作家としても知られています。9月28日生まれで、その作品は幅広い読者層に支持されています。特に、書店員としての経験を生かしたミステリー作品が特徴的で、日常の謎を巧みに描く手腕には定評があります。

経歴と作風

大崎梢は、東京都出身で、2006年に東京創元社から刊行された連作短編集『配達あかずきん』で小説家デビューを果たしました。デビュー前は書店に勤務しており、その経験が彼女の作品に色濃く反映されています。

『成風堂書店事件メモ』シリーズは、駅ビル内にある中規模書店を舞台に、しっかり者の店員・木下杏子を語り手兼ワトソン役、勘の良い学生アルバイト・西巻多絵を名探偵役として、日常に潜む謎を解決していく物語です。このシリーズは、書店を舞台にした本格ミステリーとして、「本格書店ミステリ」というジャンルを確立しました。大崎梢の作品は、書店という身近な場所を舞台にすることで、読者に親近感を与え、日常の謎解きを通して読者を物語に引き込んでいきます。

また、漫画家の久世番子によって、『配達あかずきん』が漫画化され、新書館の漫画雑誌『月刊ウィングス』で2007年から連載が開始されました。これにより、大崎梢の作品はさらに多くの読者に知られることになりました。

大崎梢は、ミステリー作品を中心に執筆していますが、児童書にも挑戦しており、「天才探偵SEN」シリーズなど、子供向けの作品も発表しています。2014年には、TBSテレビの「王様のブランチ」で『忘れ物が届きます』が紹介され、幅広い層からの注目を集めました。好きな作家として横溝正史を挙げており、特に『獄門島』、『八つ墓村』、『悪魔の手毬唄』を愛読していると言います。書店を舞台にした小説を書き始めたきっかけは、書店での仕事の話が友人たちに好評だったことだそうです。

現在は、神奈川県横浜市に在住しており、創作活動を続けています。

作品リスト

大崎梢の作品は、以下のシリーズや単著、アンソロジーに収録されています。

成風堂書店事件メモシリーズ

配達あかずきん 成風堂書店事件メモ (2006年5月 東京創元社 / 2009年3月 創元推理文庫)
晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ（出張編） (2006年9月 東京創元社 / 2009年11月 創元推理文庫)
サイン会はいかが？ 成風堂書店事件メモ (2007年4月 東京創元社 / 2010年3月 創元推理文庫)
ようこそ授賞式の夕べに 成風堂書店事件メモ（邂逅編） (2013年11月 東京創元社 / 2017年2月 創元推理文庫)

出版社営業・井辻智紀の業務日誌シリーズ

平台がおまちかね (2008年6月 東京創元社 / 2011年9月 創元推理文庫)
背表紙は歌う (2010年9月 東京創元社 / 2013年7月 創元推理文庫)

天才探偵Senシリーズ

天才探偵Sen 公園七不思議 (2007年11月 ポプラポケット文庫)
オルゴール屋敷の罠 (2008年7月 ポプラポケット文庫)
呪いだらけの礼拝堂 (2009年2月 ポプラポケット文庫)
神かくしドール (2009年10月 ポプラポケット文庫)
亡霊プリンスの秘密 (2010年9月 ポプラポケット文庫)
迷宮水族館 (2011年6月 ポプラポケット文庫)
テレビ局ハプニング・ツアー (2012年2月 ポプラポケット文庫)

千石社シリーズ

プリティが多すぎる (2012年1月 文藝春秋 / 2014年10月 文春文庫)
クローバー・レイン (2012年6月 ポプラ社 / 2014年8月 ポプラ文庫)
スクープのたまご (2016年4月 文藝春秋 / 2018年9月 文春文庫)
彼方のゴールド (2019年10月 文藝春秋 / 2021年7月 文春文庫)

めぐりん

本バスめぐりん。 (2016年11月 東京創元社 / 2019年10月 創元推理文庫)
めぐりんと私。 (2021年4月 東京創元社)

その他単著

片耳うさぎ (2007年8月 光文社 / 2009年11月 光文社文庫)
夏のくじら (2008年8月 文藝春秋 / 2011年6月 文春文庫)
スノーフレーク (2009年2月 角川グループパブリッシング / 2011年7月 角川文庫)
ねずみ石 (2009年9月 光文社 / 2012年1月 光文社文庫)
かがみのもり (2011年3月 光文社 / 2013年9月 光文社文庫)
キミは知らない (2011年5月 幻冬舎 / 2014年4月 幻冬舎文庫)
ふたつめの庭 (2013年5月 新潮社 / 2015年10月 新潮文庫)
忘れ物が届きます (2014年4月 光文社 / 2016年8月 光文社文庫)
だいじな本のみつけかた (2014年10月 光文社 / 2017年4月 光文社文庫)
空色の小鳥 (2015年9月 祥伝社 / 2018年6月 祥伝社文庫)
誰にも探せない (2016年2月 幻冬舎)→【改題】宝の地図をみつけたら (2019年4月 幻冬舎文庫)
よっつ屋根の下 (2016年8月 光文社 / 2018年12月 光文社文庫)
横濱エトランゼ (2017年6月 講談社 / 2020年3月 講談社文庫)
ドアを開けたら (2018年9月 祥伝社 / 2022年4月 祥伝社文庫)
さよなら願いごと (2020年5月 光文社)
もしかして ひょっとして (2020年10月 光文社)
バスクル新宿 (2021年8月 講談社)
27000冊ガーデン (2023年4月 双葉社)

アンソロジー

大崎梢は、多数のアンソロジーにも作品を寄稿しています。これらの作品は、様々なテーマやジャンルに触れる機会を提供しています。例として「ザ・ベストミステリーズ」シリーズ、「片想い。」「初恋。」「きみが見つける物語」「とっさの方言」「エール！」「君と過ごす季節」「風色デイズ」などがあります。

メディアミックス

大崎梢の作品は、映画やテレビドラマ、配信ドラマ、コミックスなど、様々なメディアで展開されています。

映画: 『スノーフレーク』(2011年)
テレビドラマ: 『プリティが多すぎる』(2018年)
配信ドラマ: 『古書堂ものがたり』(2023年)
* コミックス: 『配達あかずきん』『サイン会はいかが』『平台がおまちかね』など、久世番子によるコミカライズ作品

まとめ

大崎梢は、その独特な視点と繊細な筆致で、読者を魅了し続ける小説家です。書店を舞台にしたミステリーから児童書まで、幅広いジャンルで活躍しており、今後も彼女の作品から目が離せません。読者は、日常の謎解きを通して、物語の奥深さを味わうことができるでしょう。

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