大庄村 (兵庫県)

大庄村の歴史と発展

大庄村（おおしょうむら）は、かつて兵庫県武庫郡に存在した村であり、現在では尼崎市の南西部、大庄地区として知られています。江戸時代には尼崎藩の領土に含まれ、今北、西大島、東大島、浜田、東新田、西新田、道意新田、中浜新田、又兵衛新田の9つの村に分かれていました。

村の設立

1889年（明治22年）4月、町村制が施行され、これらの村を統合して大庄村が設立されました。この村名は、元々この地域が「大島の庄」と称されたことに由来しています。村の役場は旧西新田村の戸長役場に置かれ、その当時の人口は約3,370人でした。

交通と産業の発展

1905年（明治38年）には阪神電気鉄道が開業し、大庄村内に武庫川停留所（現在の武庫川駅）や蓬川停留所が設けられ、交通の便が大いに改善されました。この頃、1910年（明治43年）には日本リーバ・ブラザースの石鹸工場が設立され、村の産業が一層活性化していきます。さらに1917年（大正6年）には乾鉄線の工場も建設され、地域の経済は次第に多様化しました。

1927年（昭和2年）には阪神国道が開通し、その上で阪神国道電軌も開業します。翌年にはこの電軌が阪神電気鉄道に統合され国道線となって、ますます大庄の交通網が発展しました。また、1930年（昭和5年）には尼崎築港会社が村の南部で大規模な臨海工業地の埋立事業を開始し、工業化が進行していきました。

災害と復興

しかし、1934年（昭和9年）には室戸台風の直撃を受け、村は甚大な被害を受けました。特に丸島や又兵衛新田、大浜新田では多くの家屋が流出し、99人が死亡、164人が負傷するなどの悲惨な状況となりました。このような災害の中でも復興が進み、1937年（昭和12年）には新村役場が竣工しました。この庁舎は鉄筋コンクリート造で、近代的なデザインが特徴でありました。

合併と消滅

1942年（昭和17年）には隣接する武庫村や立花村と共に、尼崎市に編入され、大庄村は消滅します。この合併は長年にわたる地域の発展と課題の解決を目指した結果であり、当時の大庄村の人口は約48,200人に達していました。

経済活動

大庄村の経済は主に農業に根ざしており、米や麦などの農産物が中心でした。また、甘藷や大豆、葡萄などの多様な作物も栽培されていました。『大日本篤農家名鑑』には、小川龍碩、橋本治作、織部善吉といった著名な篤農家が紹介されています。

大庄村の歴史は、地域の発展だけでなく、交通網の整備や工業の進展と密接に関わりがあります。過去の災害を乗り越え、村人たちは計画的な復興を進め、最終的には尼崎市として成長を遂げました。

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