大形太郎

大形太郎（おおがた たろう）は、1912年（大正元年）11月に三重県鵜方村で生まれ、1948年（昭和23年）11月16日に不慮の死を遂げた日本の政治活動家であり、経済学者です。彼の生涯は、激動の昭和という時代を背景に、学問、ジャーナリズム、政治活動と多岐にわたりました。

生い立ちと学歴

大形太郎は、立命館大学予科を経て、1938年（昭和13年）に法政大学経済学部を卒業しました。大学では経済学を専攻し、その後の研究活動の基礎を築きました。

ジャーナリズムと研究活動

大学卒業後、大形は都新聞に入社し、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。しかし、1942年（昭和17年）に同社を退社し、法政大学大学院に進学。広域経済理論を専攻し、研究者としての道を歩み始めます。大学院在籍中には、法政大学助手や東急電鉄調査課などにも勤務し、社会と経済の現場を経験しました。その後、応召により日本海軍に入隊しました。

戦後の政治活動

終戦後、大形は日本共産党に入党し、政治活動家としての活動を本格化させます。「アカハタ」編集部員として党の機関紙の編集に携わったほか、茨城県地区責任者、地方委員、党本部出版部書籍編集委員など、党の要職を歴任し、党の理論と運動を支えました。

突然の死

1948年（昭和23年）11月16日、大形太郎は国鉄池袋駅貨物列車引き込み線路上で轢死体として発見されました。彼の死は突然であり、事件の真相は現在も不明のままです。この突然の死は、彼の活動を惜しむ多くの人々にとって大きな衝撃でした。

著作と思想

大形太郎は、経済学者として数多くの著作を執筆しました。初期には、南方経済や大東亜共栄圏に関する著作を発表し、その後のマルクス主義経済学の研究へと繋がっていきます。主な著書として、『高砂族』、『南方経済論』、『南洋華僑と経済』、『南方圏経済論』、『大東亜の経済建設』などがあります。戦後はマルクス主義経済学の研究に力を注ぎ、『マルクス主義貨幣論』、『マルクス主義経済学入門』、『貨幣・紙幣・インフレーション』、『マルクス主義恐慌理論』などの著作を刊行しました。また、エンゲルスの著作の翻訳も手がけ、日本のマルクス主義理論の発展に貢献しました。これらの著作は、彼の幅広い関心と深い知識、そして社会変革への情熱を示しています。

参考文献

大形太郎の研究やその生涯については、『近代日本社会運動史人物大事典』（日外アソシエーツ、1997）などの文献で知ることができます。また、彼の著作である『大東亜の経済建設』も彼の思想を理解する上で重要な資料となります。

大形太郎は、激動の時代を駆け抜けた政治活動家、経済学者であり、その業績は、今日においても研究対象として重要な意義を持ち続けています。

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