大徳 (黎榜)

大徳（だいとく）は、ベトナム後黎朝において、昭宗に対抗する鄭綏（ていすい）らによって擁立された黎榜（れいほう）が使用した元号です。その期間は1518年から1519年とされていますが、正確な期間については諸説あります。

元号の背景

当時の後黎朝は内乱状態にあり、権力争いが激化していました。昭宗は正統な皇帝でしたが、その権威は失墜し、各地で反乱が起きていました。このような状況下で、鄭綏らは昭宗に対抗するために、新たな皇帝として黎榜を擁立し、その際に新たな元号として大徳を定めました。

史料における記述

『欽定越史通鑑綱目』には、この元号が「天徳」と記載されています。これは、史料によって元号の表記が異なることを示しています。

『大越史記全書』の記述

『大越史記全書』本紀巻之15 戊寅光紹3年9月21日条には、以下の記述があります。

永興伯鄭綏、文臣阮瑡与山西諸将共謀立静脩公禄之子榜為帝、改元大徳。榜乃恭王（克）昌之曾孫也。得半年又廃之、而立黎槱、音猶。改元天憲。

この記述から、鄭綏らが静脩公禄の子である黎榜を皇帝に擁立し、元号を大徳と改めたこと、黎榜が恭王（克）昌の曾孫であることがわかります。また、黎榜は半年ほどで廃位され、黎槱（れいゆう）が擁立され、元号が天憲（てんけん）に改められたことも記されています。

短い期間の元号

大徳は、黎榜が短期間で廃位されたため、元号としても短い期間しか使用されませんでした。その後、黎槱が皇帝に擁立され、天憲と改元されたことで、大徳の元号は歴史から姿を消すことになりました。

参考文献

黎僖ほか撰、陳荊和編校『校合本　大越史記全書（中）』（東洋学文献センター叢刊44、東京大学東洋文化研究所附属東洋学文献センター刊行委員会、1985年）

関連項目

他政権の大徳

このように、大徳はベトナム後黎朝の混乱期に短期間使用された元号であり、その背景には当時の政治的な権力争いがありました。

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