黎朝

黎朝（家黎）

黎朝は、1428年から1527年、および1532年から1789年までの期間、ベトナムで存在した王朝です。この王朝は、黎利（レ・ロイ）によって樹立されましたが、ベトナム史においては、二つの異なる時代があったことから、前黎朝と後黎朝という区分けが行われることがよくあります。前黎朝は29年しか存続しませんでしたが、後黎朝は250年以上にわたり続きました。

後黎朝の成立

後黎朝の前期は、明の支配から独立を求めて黎利が立ち上がったところから始まります。15世紀の初め、明帝国はベトナムを支配下に置いていましたが、その圧政に抵抗する形で黎利は挙兵します。長いゲリラ戦の末、彼は1428年にハノイで皇帝に即位し、国号を「大越」と定めました。黎利は、開国功臣たちの力を借りて政権を維持し、彼らとの婚姻を通じて権力基盤を強化しました。

内政と教育

建国後は国内を五道に分けて地方行政制度を整備し、国子監や公田の分配制度、土地台帳や戸籍制度の整備に尽力しました。1434年に黎利が亡くなると、次男の太宗が11歳で即位し、摂政のもとで政治が運営されました。太宗の時代には科挙制度が確立され、初めての進士が登用されるなど、教育が重視されました。

チャンパ王国との関係

仁宗が2歳で即位すると、黎朝とチャンパ王国との間で軍事的な対立が生じ、特に1460年代に入ると内乱が勃発しました。聖宗の治世では、チャンパとの戦争が続き、1471年の親征でチャンパを従属させることに成功しました。この時期には内政の整備も進められ、繁栄期を迎えます。しかし、次代の憲宗が早世し、国勢は衰微へと向かいます。

欲望と権力闘争

威穆帝の時代には暴政が行われ、1509年に大規模なクーデターが発生しました。これにより、黎朝は一度滅びるものの、1532年に黎寧が復興を唱え、再び黎朝の権威が戻ります。しかし、黎朝自体は鄭氏一族の傀儡となり、実権が彼らの手中に渡ります。

後黎朝後期の動乱

1592年、鄭氏が実権を掌握し、モク朝の残党を排除して黎朝を復興させます。しかし、黎本家の権威は次第に落ち、鄭氏の独裁が続く中で、両者の対立は内戦へと発展しました。さらに、1771年には西山の乱が勃発し、黎王朝の実権を取り戻すために反乱軍が動き出します。1788年には、清朝の援軍を得て再び政権を握ろうと試みますが、最終的には阮恵の軍勢に敗北し、これによって黎朝は滅亡しました。

結論

黎朝は、ベトナムの歴史の中で重要な王朝であり、その期間にさまざまな制度や文化が育まれました。長きにわたる権力闘争や外部勢力との対立は、黎朝の政権の浮き沈みをもたらし、最終的には黎朝を破滅に導くこととなりました。このように、黎朝の歴史は、ベトナムの民族の形成や、文化的な基盤を築くうえで欠かせないものです。

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