大手町フィナンシャルセンター

大手町フィナンシャルセンターは、かつて東京都千代田区大手町に位置していた高層ビルです。このビルは、安田火災海上保険（現在の損害保険ジャパン）と富士銀行（現在のみずほ銀行）が共同で開発を行い、1992年に竣工しました。その建設地は、かつて安田火災海上ビルが建っていた場所でした。

2004年2月、このビルは東京建物系の特別目的会社である有限会社東京プライムステージによって、東側に隣接するみずほ銀行大手町本部ビルと共に、総額1450億円で買収されました。この買収は、両ビルを一体的に再開発することを目的としていました。

そして、再開発プロジェクトが進行し、2014年4月30日には、跡地に新たなランドマークとなる大手町タワーが完成しました。かつて大手町フィナンシャルセンターが建っていた場所は、丸の内仲通りに接続する形で「大手町の森」と名付けられた広場へと姿を変えました。この広場は約3,600平方メートルの緑地として整備され、ヒートアイランド現象の緩和に貢献しています。また、この緑地には、千葉県で育成された森の土壌が約2メートルの厚さで移植され、コナラやケヤキなどの広葉樹をはじめ、様々な樹木と草本類が植えられ、生物多様性にも配慮した設計となっています。

再開発のために、大手町フィナンシャルセンターとみずほ銀行大手町本部ビルの解体工事は2011年2月から開始されました。解体工事は大成建設が担当し、最先端の解体技術である「テコレップシステム」が採用されました。このシステムは、建物の上部を仮設の建屋で覆い、上から順に解体していく方式で、解体作業中に発生する粉塵や騒音を大幅に抑制する効果があります。解体によって生じた廃材は、床面に設けられた開口部からクレーンを使って最下部まで降ろされますが、このクレーンには回生ブレーキが搭載されており、工事で使用する電力の一部を賄うという省エネルギー対策も施されています。

日本国内において、100メートルを超える超高層ビルの解体事例としては、ソフィテル東京に次いで2例目という記録が、この大手町フィナンシャルセンターの解体工事で打ち立てられました。この解体工事は、技術的な挑戦だけでなく、環境への配慮、そして都市再生の新たなモデルケースとして、多方面から注目されました。

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