大斎 (正教会)

大斎（おおものいみ）の期間とその意義

大斎は、正教会における特別な禁食期間であり、赦罪の主日晩課後から聖枝祭前晩までの約6週間にわたって行われます。この期間は、信者が神との交わりを深めるための特別な時であり、食を含めた節制、祈り、施しが重視されます。さらに、広義には受難週も含まれ、この受難週は伝統的には独立した期間ですが、その行動や祈りのスタイルが共通しているため、日常会話ではしばしばひとまとめにされて大斎と呼ばれることがあります。

大斎の目的

大斎の期間を通じて、信者は自らの罪を認識し、痛悔することが求められます。その際、個人の罪だけでなく、人類全体の罪、その起源と神からの無限の恩寵を思うことが大切であり、キリストの受難と復活へ向かって心を向けることが促されます。信者たちの祈りと禁食は、神との交わりに人間が返る準備となるのです。この行為は、古代から行われてきた入信希望者のための洗礼準備から派生しており、現在では信者自身が信仰心を新たにし深める意義が強調されています。

祈祷と特別な儀式

大斎期間中は、特別な祈祷文や祝文が多く用いられ、平日の聖体礼儀も普段とは異なる形式で行われます。例えば、受難を思い起こす祈祷文として、シリアの聖エフレムの祝文が有名です。また、平日には聖体礼儀を行わず、「先備聖体礼儀」が行われ、主日は通常の聖体礼儀が用いられます。ウェア主教によると、この期間の祈りは、信者が心の中で行動を振り返ったり、深く自己を見つめ直したりする助けとなります。

禁食の具体的な内容

大斎期間中、信者は食の節制が求められ、水曜日と金曜日には特に厳格な禁食が定められています。平日には、卵や乳製品、肉、魚、オリーブ油、酒を控えることが推奨されますが、主日やスボタ（土曜日）には少し緩和され、同様の食物が許可されます。ただし、油についての解釈には異なる考え方があり、地域によってはヒマワリ油などの使用が一般的です。

また、旅行や宴席などの享楽も控えるべきとされ、信者間でのもてなしを受けることにも様々な見解があります。これにより、精神的な集中が促され、神との交わりが一層深まることを期待されています。

大斎の行事

大斎の始まりは、赦罪の主日晩課という特別な儀式で告げられ、互いに赦しを請う行為が行われます。このような行為は、信者同士の繋がりを強め、共同体の一体感をもたらします。各週には特定の名が付けられ、特別な祈りや祝文が奉納されることで、教会全体が大斎に浸ることが求められます。

結論

総じて、大斎の期間は信者にとって神との関係を見つめ直す重要な時間です。禁食と祈祷、施しを通じて、信者は神の前で自らを謙虚にし、信仰を再確認する機会としています。これにより、個人とコミュニティの信仰が一層深まることが期待されるのです。

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