大本修

大本修：電気工学と野球を繋いだ生涯

大本修（1925年4月1日-2008年10月15日）は、日本の電気工学分野において顕著な功績を残した人物です。岡山県出身で、関西中学校、旧制第六高等学校を経て芝浦工業専門学校（現在の芝浦工業大学）で電気工学を専攻しました。卒業後は渡米し、マサチューセッツ工科大学やNASAで客員研究員として活躍、アポロ計画にも携わり、人工衛星の太陽電池開発に貢献しました。

帰国後、芝浦工業大学教授に就任し、1991年から1997年まで学長を務めました。大学での研究活動と並行して、大本氏は野球への深い情熱を注ぎ込みました。特に、野球用バットの素材研究においては先駆的な役割を果たしました。

1960年代には、アメリカ合衆国のスポーツ用品メーカーに先駆け、金属バットの開発に成功。その技術は高く評価され、1970年代の高校野球公式戦での金属バット採用に際しては、通商産業省の製品安全協会安全管理委員会委員長として安全基準の策定に貢献しました。

1973年から1998年まで日本プロ野球機構コミッショナー顧問を務め、野球界の発展に大きく貢献しました。1985年には、木製バットの折損事故防止のため、コミッショナー諮問機関である『バット問題諮問委員会』委員長に就任。木製バットの安全基準策定に尽力しました。

さらに、2000年には野球用木製バットの材料であるアオダモの資源不足が問題となりました。この問題解決のため、大本氏は「アオダモ資源の育成」を呼びかけ、プロ・アマ野球界の協力を得てNPO法人『アオダモ資源育成の会』を設立しました。

2008年10月15日、前立腺癌のため83歳で逝去しました。その功績は高く評価され、2012年には野球殿堂入りを果たしました。大本修氏の業績は、電気工学のみならず、野球界にも大きな足跡を残し、現在もその影響は広く及んでいます。彼の貢献は、技術開発のみならず、スポーツ界の発展にも大きく寄与したと言えるでしょう。

大本修氏の研究開発活動は、技術革新に留まりません。金属バットの安全性に関する基準づくりや、木製バットの資源問題への取り組みなど、社会への責任感も強く示しています。これらの活動は、単なる技術開発ではなく、社会貢献という視点からも高く評価できるものです。アオダモ資源育成の会の設立は、まさにその姿勢を示すものでしょう。

また、彼はNASAでの研究員時代、アポロ計画に携わった経験も有しています。これは、彼が国際的な視野を持ち、最先端技術開発に積極的に取り組んでいたことを示しています。このように、大本修氏の生涯は、技術開発への飽くなき探究心と、野球への並々ならぬ情熱、そして社会貢献への強い意志によって貫かれていました。彼の功績は、これからも多くの人々に記憶され、未来への指針となるでしょう。

勲三等旭日中綬章を受章しており、その功績は国家レベルでも高く評価されています。芝浦工業大学学長、日本プロ野球機構コミッショナー顧問、日本高等学校野球連盟顧問、アオダモ資源育成の会会長など、数々の要職を歴任し、その指導力と影響力は絶大でした。彼の活動は、技術界、スポーツ界、そして社会全体に多大な貢献をもたらしたと言えます。大本修氏の生き様は、未来の技術者やスポーツ関係者にとって、大きな模範となるでしょう。

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