大杉繁

大杉 繁（おおすぎ しげる）

大杉繁（1885年11月1日 - 1971年12月18日）は、静岡県浜松市出身の日本の農学者で、特に土壌学の分野で著名です。彼は酸性土壌に関する研究で世界的な権威とされ、土壌がなぜ酸性化するのかについての学界の論争を解決したことで知られています。大杉は教育者としても多くの役職を歴任し、名誉学長や学部長として、日本の農学の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

大杉は1885年に静岡県で生まれました。彼は東京帝国大学に入学し、1909年に農学士の称号を取得しました。1920年には農学博士の学位を授与されました。

教職と業績

彼のキャリアは盛岡高等農林学校で始まり、講師としての職に就いた後、教授に昇任しました。1914年には大原奨農会農業研究所の初代化学部部長として活動を開始し、その後、1923年から1946年まで京都帝国大学の教授を務め、農学部の創設にも尽力しました。
1946年には岡山農業専門学校の初代校長として、続いて静岡県立静岡農林専門学校と静岡県立静岡農科大学の初代校長、さらに静岡大学の農学部の初代学部長に就任しました。
大杉は、1953年から1956年には静岡大学の学長も務めており、静岡大学の工業短期大学部や法経短期大学部でも学長職を兼任しました。その後も静岡県教育委員会の委員として活動しました。

研究内容

大杉は特に土壌学の中でも酸性土壌の研究において知られています。当時、農学者の間では土壌の酸性化の原因を巡って大きな論争がありました。大工原銀太郎が提唱した説に対し、大杉は独自の見解を発表し、1918年には研究成果を「Soil science」で発表。この論文が学界の結論を導きました。彼の研究は日本農学会を通じて多くの農学者に広まりました。

また、大杉は湛水状態の土壌にも取り組みたいくつかの著書を残しています。彼の著書『一般土壌学』や『土壌学概論』は、土壌学の基礎を学ぶにあたり重要なテキストとされています。

人物・エピソード

大杉は、農学部を創設する中で、キャンパス造成時に見つかった地蔵菩薩像にまつわる逸話を持っています。また、彼は多くの若い研究者に影響を与え、彼の教え子の加藤芳朗も大杉からの指導を受けています。
また1944年、彼は日本土壌肥料学会の会長に就任しましたが、その地位を通じて土壌学の発展にも尽力しています。

結論

彼の業績は日本の農学界にとって非常に重要であり、死後も彼の貢献は後進の研究者たちに多大な影響を与え続けています。大杉繁は、土壌学の進展に寄与した偉大な学者であり、教育者としても多くの人々に影響を与えました。彼の遺した業績は、今後の農学研究の基盤として長く語り継がれるでしょう。

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