大村彦太郎 (10代)

大村 彦太郎の生涯

大村彦太郎（おおむら ひこたろう）は1869年5月4日に京都で生まれ、1927年12月13日に逝去した。実業家として名を馳せ、政治でも活躍した彼は、特に白木屋の発展に寄与したことで知られる。彼の幼名は和吉郎で、後に梅軒という別名を持つこともあった。

幼少期から青年期

大村は、京都市中京区にある白木屋本宅において、9代目の大村彦太郎の子として生まれました。6歳の時に上京し、白木屋の支配人の手に託けられる形で養育されました。1875年には尾義塾に入学し、漢学を学びました。その後、商業に関する教育を受けるために商業素修学校を卒業します。

商業の実践的な知識を深めるため、当時の呉服店で小僧見習いの経験を積みました。この経験を通じて従来の商法の限界を感じ、改革を志向するようになります。

海外留学と商業改革

1887年、大村は白木屋の重役と共にアメリカへ渡り、数か月間英語を習得しました。その後、イギリスへ行き、チェルトナムの中学校を経てケンブリッジ大学を卒業します。帰国後、織物製造業の研修を受けるためブラッドフォードで勤務し、服地の流通や貿易に関する知識を深めました。

1895年、彼は10代の彦太郎を襲名し、白木屋の経営改革に着手します。特に、輸入商を介さずに直接取引を行う形態へと商法を転換し、共同輸入組合の設立にも貢献しました。1904年には店舗の改築を通じて陳列販売方式を採用し、1919年には個人商店から株式会社への移行を果たします。

事業の成長と政治活動

彼の努力により白木屋は大きな成長を遂げ、彼自身も社長として多くの事業拡大に成功しました。大阪支店の改築や新しい店舗の設立を行い、百貨店としての地位を確立しました。しかし、1921年に社長を退任し、後任が就任しましたが、1932年に本店が震災で全焼するなどの困難に直面します。

その後も復興に力を尽くし、再び社長に就任するも、健康を害し、1927年に帰宅先の京都で亡くなりました。

政治家としての活動

大村は、政治にも関与し、2回の京都市長選挙に挑戦しましたが、共に落選しました。しかし、1918年には京都府の貴族院議員に選出され、1925年までその職位を務めました。多額納税者として貴族院での活躍のほか、日本織物の監査役や東京銀行の副役員など、さまざまな役職も担いました。

文化的側面と後世への影響

また、彼は茶道や謡曲に通じており、裏千家の円能斎と親交を持っていました。その関係から、利休堂や利休像を私財を投じて買い戻すなど、文化的な活動にも力を入れました。

家族

大村彦太郎の妻は、大村内（ダイ）で、鴻池善右衛門の娘です。彼の長女は牧野当子で、彼女は牧野康熙の妻としても知られています。彼の家族と後世に渡る影響は、商業、政治、文化の発展に貢献する形で残っています。

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