裏千家

裏千家（うらせんけ）について

裏千家は、日本の伝統的な茶道流派の一つで、千利休から受け継がれた本家の表千家に対して、今日庵が位置するため「裏」と名付けられています。裏千家の本拠地は京都市上京区に位置し、表千家とも隣接しています。この流派には家元とその家族、また弟子や門下生が含まれ、一般財団法人の今日庵も裏千家の一部を成しています。そのため、裏千家という名前は、様々な意味合いを持ちます。

特徴

裏千家の茶道には、いくつかの顕著な特徴があります。三千家の点前作法は大体似ているものの、以下の点で違いがあります。

- 薄茶の泡立て: 裏千家では薄茶をしっかりと泡立てるのに対して、表千家や武者小路千家では泡立てが控えめです。
- 茶筅の素材: 裏千家は白竹製の茶筅を使用しますが、表千家では煤竹が使われ、武者小路千家では胡麻竹が採用されています。
- 菓子器: 裏千家の菓子器は蓋なしの鉢が用いられるのに対し、表千家と武者小路千家では蓋付きの喰籠を使います。
- 道具の紐色: 裏千家の道具箱の紐色は深い緑、表千家は黄色、武者小路千家は茶と紺色です。
- 袱紗の色: 女性用の袱紗は、表千家が朱無地に対し、裏千家は赤または朱無地を用います。男性の袱紗は主に紫無地が利用されます。

許状と資格制度

裏千家では、茶道の習得にあたって「許状」という書面が発行され、これは稽古をするための許可が書かれたものです。実力認定のための免状や段位とは性格が異なります。2000年以降は、「許状」に対応した資格制度も導入され、学習者が履歴書に記載しやすくなるよう工夫されています。

奨励証・おしるし

裏千家では、茶道を学ぶ子どもたちの卒業や卒園に際し、茶道を続けることを期待して奨励証やおしるしが交付されます。申請は、学校茶道の指導者として登録されたものでなければなりません。高等学校以上の生徒には許状取得が奨励されています。

裏千家の歴史

裏千家は、千家の中で不審菴を三男の江岑宗左が継ぎ、その後家督を受け継いだ宗室によって成立しました。４代目の仙叟宗室は加賀前田家に仕官し、茶道を振興させる活動を盛んに行いました。特に普及活動が進んだのは8代一燈宗室の期間であり、茶の湯が広く一般にも受け入れられるようになりました。

明治以後の発展

明治時代の先駆者となった11代玄々斎精中は、茶道の近代化を進め、立礼式を創始しました。また、12代又玅斎直叟や13代円能斎鉄中による活動も、裏千家の組織化や普及に大きく貢献しました。戦後は、14代淡々斎碩叟が学校教育への茶道導入を推し進め、広く茶道が学ばれるようになりました。

茶道総合資料館

今日庵内にある茶道総合資料館では、裏千家の歴史的な資料や蔵書が保存されており、定期的に展覧会が開かれています。ここでは、訪問者に無料で抹茶と和菓子の呈茶サービスも行っています。新たなメンバーシップ制度も導入され、多くの学生や教職員が利用できるようになっています。

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