大東京鬼嫁伝

『大東京鬼嫁伝』は、漫画家・仲間只一氏によって手掛けられた日本の漫画作品です。集英社の『週刊少年ジャンプ』において、2021年23号に読み切りとして掲載された後、2022年40号から2023年18号にかけて本格連載されました。

ストーリー概要

物語は、鬼の血を引く若き少女、愛火童子が始まります。彼女はかつて奥飛騨の清流で溺れそうになった際、旅行で通りかかった人間の少年、花札進太に命を救われ、その時に将来の結婚を約束しました。10年の時を経て、愛火はその約束を果たすべく、進太が暮らす大都市・東京へとやって来ます。そして、花札家での賑やかな共同生活が幕を開けます。

しかし、平穏な日常は長く続きません。進太には、古くから花札家の人間に伝わる特別な力「神血」が宿っており、この血を狙う様々なもののけたちが東京に集まってくるのです。また、愛火と進太の関係を快く思わない存在も現れます。愛火は、進太と、そして新しくできた家族を守るため、これらの悪しきもののけたちと激しい戦いを繰り広げることになります。作品は、もののけとのスリリングなバトルと、個性豊かなキャラクターたちが織りなすコミカルな日常描写が融合した、下町を舞台にしたバトルコメディとして展開します。

主な登場人物

愛火童子（まなかどうじ）：本作のヒロイン。異界の国・朱天室原の姫でもある16歳の鬼の少女。10年前の約束を胸に進太のもとへ上京し、花札家で暮らし始めます。進太への深い愛情を持ち、彼を狙うもののけや、進太に近づく異性には容赦ない態度をとることも。エキセントリックな一面も持ち合わせています。
花札進太（はなふだじんた）：物語の主人公。東京に住む17歳の高校生。父の残した借金を返すためアルバイトに励む日々を送っていましたが、愛火との再会を機にその運命は大きく変わります。当初は10年前の約束を忘れていましたが、愛火と共に危機を乗り越える中で記憶を取り戻し、愛火を家族として受け入れます。自身に宿る神血を狙う敵との戦いを通じて神血の力を覚醒させ、自らの運命に立ち向かいます。
花札家の人々：
花札まつり：花札家の世帯主で、血縁のない進太やつむぎの姉。お酒が好きで明るい性格。愛火の突然の同居も快く受け入れる懐の深さがあります。
花札つむぎ：しっかり者の小学生で、まつりや進太の妹。特撮ヒーローをこよなく愛しており、その話になると饒舌になります。
花札家へ居候するもののけたち：進太や愛火との関わりの中で、様々な事情から花札家へ身を寄せるもののけたちが現れます。蛙のもののけで素直な性格の翠川けろる、アイドルを目指すも挫折した過去を持つ猫のもののけ猫又みゃーこ、そして進太の祖父から託されたものを持つゾンビのもののけ不死身かばねなどが、家族の一員として物語を彩ります。
厄災世代：愛火が通っていた異界の学校の同期生たちで、それぞれが特異な力や個性を持つ問題児たちの世代。後に東京で進太や愛火と敵対することになります。

作中用語

神血（じんけつ）：花札家の人間に代々受け継がれる特別な体質、あるいはその血液。莫大な妖力を宿しており、もののけを引き寄せる性質を持ちます。数百年に一度、異変が起こる際に現れ、事態を収拾すると伝えられる一方で、その力を狙うもののけから常に狙われる危険を伴います。
異界（いかい）：もののけたちが暮らす人間界とは別の世界。通常は簡単に行き来できませんが、異変に乗じて人界に現れるもののけが存在します。
葬薙（ほむるなぎ）：異界の神木から作られた、神血を持つ者だけが扱える妖具。バットのような形状の木刀で、強大なもののけに対抗しうる唯一無二の武器とされます。

作品は、鬼の姫と人間の少年という異種族間の絆、そして「神血」という特別な力を巡る戦いを軸に、個性豊かなキャラクターたちが織りなすハートフルなコメディ要素が魅力です。東京の下町を舞台に繰り広げられる、もののけと人間の騒がしい日常と非日常が描かれています。

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