大森治豊

大森治豊

大森治豊（おおもり はるとよ）は、嘉永5年11月10日（1852年12月20日）に生まれ、1912年2月19日に亡くなった日本の外科医、医学博士です。彼は日本の腹部外科の開拓者として知られ、その功績は今日の医療にも大きな影響を与えています。

生涯

1852年（嘉永5年）、大森治豊は上山藩の御典医である大森快春の長男として江戸で生まれました。その後、一家は出羽国上山藩に移り、治豊は藩校の明新館で学びました。幼少期から学問に励み、その才能を開花させていきました。

1879年、東京大学医学部を卒業後、福岡医学校に赴任しました。ここで彼は医学教育に携わり、多くの医師を育成しました。1885年には同校の校長に就任し、そのリーダーシップを発揮しました。その間、大森は外科医としての腕を磨き、数々の手術を成功させています。

1885年、大森は日本で初めて帝王切開手術を成功させ、その名を医学界に轟かせました。この手術の成功を皮切りに、彼は次々と腹部手術を手がけ、日本の腹部外科の発展に大きく貢献しました。彼の技術は当時としては非常に高度なものであり、多くの患者を救いました。

1903年、福岡医科大学が創設されると、大森は初代学長兼付属医院長に就任しました。また、外科学講座も担当し、後進の育成にも尽力しました。彼は大学の基礎を築き、その後の発展に大きく貢献しました。1909年、病気のために退官しましたが、1911年には九州帝国大学の名誉教授となり、その功績が讃えられました。

1910年、九州大学医学部には、大森の功績を記念して銅像が建てられました。この銅像は、彼が日本の医療に果たした貢献を今に伝える象徴となっています。

栄典・授章・授賞

大森治豊は、その功績により数々の栄典と勲章を受けています。

1906年（明治39年）12月27日 - 正五位
1910年（明治43年）1月31日 - 従四位
1909年（明治42年）12月25日 - 勲四等瑞宝章

これらの栄典と勲章は、彼が日本の医療に貢献したことを証明するものです。

大森治豊の功績

大森治豊は、日本の腹部外科の開拓者として、その生涯を医療の発展に捧げました。彼の業績は、以下の点で特に評価されています。

日本初の帝王切開手術の成功
腹部手術の普及と発展
福岡医科大学（現九州大学医学部）の創設と発展への貢献
医学教育における後進の育成

これらの功績により、大森治豊は日本の医療史において、非常に重要な人物として位置づけられています。彼の名は、今もなお多くの医師や医療関係者に敬意を持って語り継がれています。

参考文献

岩熊哲「杏仁医館随筆（その十一、十四、十七）、九大医史の試み（上、中、下）」（『九大医報』10-4、11-1、11-4、1936年～1937年）
宇留野勝弥, 大森治豊『医傑大森先生の生涯』宇留野勝彌、1961年。doi:10.11501/2986271。
杉江勇「九州開眼秘史（南蛮医術）」（『夕刊フクニチ新聞』1964年4月21日～6月23日）
九州大学百年の宝物刊行委員会「第6章 97.歴代総長の肖像」『九州大学百年の宝物』丸善プラネット, 丸善出版 (発売)、2011年、210頁。
土居善胤編、佐藤裕・光富彰対談「九州大学医学のきらめく博士たち」（博多に強くなろうシリーズ 79、西日本シティ銀行、2011年）
『九州大学大学文書館ニュース』39、2015年

外部リンク

本邦内臓外科の開祖 大森 治豊 -九州大学医学部
* 初代教授 大森 治豊

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