大榑川

大榑川について

大榑川（おおぐれがわ）は、岐阜県の安八郡輪之内町、海津市、養老郡養老町を流れる重要な一級河川です。木曽川水系に属し、揖斐川を通じて伊勢湾へと注ぎます。本河川は地域の生活や環境に多大な影響を持つ存在として、古くから住民に親しまれてきました。

地理

大榑川は長良川を水源とし、安八郡輪之内町と海津市の境界部分を流れます。特に、海津市平田町今尾で揖斐川の旧河道と合流し、さらに下流の海津市と養老郡養老町の境で揖斐川に流入します。北側には福束輪中、南側には高須輪中が存在し、地域の水源として重要な役割を担っています。

春になると、約7キロメートルにわたって堤防の上に植えられた桜が美しい花を咲かせ、多くの花見客が訪れる景勝地となります。上流部分は準用河川に指定されていますが、下流は一級河川として重要視されています。

歴史

大榑川の歴史は非常に興味深いものです。『百輪中旧記』において、1619年（元和5年）に長良川の洪水に苦しむ高須輪中の住民が開削した新川についての記録があります。しかし、後の研究により、この記録の正確性は疑問視されています。

この規模の河川を開削するには他の史料にも記載が必要であり、地形の解析からも、古木曽川の流路を利用して拡幅されたものと推測されています。輪之内町では1615年から始まった新田開発に伴って、大榑川の改修工事が実施されたとされています。

大榑川の完成後、長良川の水が河底から滝のように流れ込み、逆に揖斐川流域での洪水リスクが高まるという事態が発生しました。それに対処するために、1751年には地元の村が長良川の分派口に堰を築いたものの、効果は限られていました。1754年には薩摩藩が宝暦治水を実施し、大榑川洗堰が完成しましたが、想定した効果には結びつきませんでした。

明治時代には、ヨハニス・デ・レーケが監督した木曽三川分流工事が行われ、1899年には長良川が完全に閉じられました。これにより、大榑川は現在の河川としての形を整え、地元住民の暮らしに新たな影響を与えるようになりました。

大榑川はその美しい景観と、長い歴史の中で育まれた文化や生活様式を大切にしながら、今なお流れ続けています。地域の未来に向けても、大榑川の保全や活用が重要な課題とされています。

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