大橋博 (長崎市長)

大橋博（おおはし ひろし）

大橋博は、1897年3月に生まれ、1965年12月1日に68歳で亡くなった日本の政治家です。彼は長崎市長を1期務め、戦後の長崎市の復興に大きく貢献しました。

生い立ちと経歴

大橋博は長崎高等商業学校（現在の長崎大学経済学部）を卒業後、三菱長崎造船所に入社しました。その後、三菱製鋼長崎製鋼所の副長を務めるなど、実業界でキャリアを積みました。

長崎市長としての活躍

1947年4月、大橋博は長崎市長選挙に立候補し、長崎地区労や民主党の推薦を受けて当選しました。当時の長崎市は、戦後の混乱と食糧不足という深刻な問題に直面していました。大橋市長は、食糧確保のために市外からの転入制限や飲食店の休業を余儀なくされるなど、困難な状況下で市政を運営しました。米軍の援助もあり、市民への食糧供給は何とか確保されました。

長崎市は原爆による壊滅的な被害からの復興を急いでおり、市民生活も徐々に安定を取り戻していました。1948年8月9日には、市主催で初の原爆犠牲者慰霊祭が開催され、大橋市長は式典で挨拶を述べました。また、市議会議長が「平和宣言」を行い、長崎市の復興と平和への願いを内外に示しました。

広島市が「広島平和記念都市建設法」によって国の復興資金を受ける動きがあることを知ると、大橋市長は長崎市も「長崎国際文化都市建設法」を制定するよう働きかけました。両法案は1949年5月11日に国会で可決されました。しかし、これらの法律は日本国憲法第95条に基づく特別法であり、施行には長崎市での住民投票が必要でした。同年7月7日に行われた住民投票では、投票率73.5%、賛成98.6%という圧倒的な支持を得て可決され、原爆投下から4年後の8月9日に公布されました。

その後

1951年の市長選では、日本社会党の推薦を受け再選を目指しましたが、保守系候補の田川務弁護士に敗れました。大橋博は、長崎市の復興に尽力した市長として、その功績は今日でも高く評価されています。

死去

1965年12月1日、大橋博は68歳でその生涯を閉じました。

参考資料

歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第3巻、歴代知事編纂会、1983年。
長崎市史編さん委員会編『新長崎市史』第4巻 現代編、長崎市、2013年。
* 『「現代物故者事典」総索引 : 昭和元年～平成23年 1 (政治・経済・社会篇)』日外アソシエーツ株式会社、2012年。

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