田川務

田川務は、1897年（明治31年）に長崎県で生まれ、1977年（昭和52年）に81歳で亡くなった日本の政治家です。彼は長崎市長を1951年から1967年まで4期16年務め、その間、長崎市の戦後復興に尽力しました。また、弁護士の資格も持ち合わせていました。

田川は、長崎県北高来郡小長井村（現在の諫早市小長井町）で、田川光蔵の五男として生まれました。尋常小学校卒業後、長崎地方裁判所で給仕として働き始めましたが、その後、独学で弁護士の資格を取得しました。1951年の長崎市長選挙で初当選し、以後4期16年にわたり市長を務めました。

市長在任中、1955年にはアメリカ合衆国のセントポール市と日本国内初の姉妹都市提携を結びました。また、1958年には原爆投下により全壊した浦上天主堂の廃墟の撤去を決定し、その跡地に1959年、被爆前の天主堂を模した新しい天主堂が再建されました。浦上天主堂の撤去に至る経緯については、カトリック浦上教会の原爆遺構保存問題に関する詳細な記録があります。

1967年、田川は4期目の任期満了に伴い市長選挙に出馬せず、政界を引退しました。翌年の1968年には、その功績が認められ勲四等旭日小綬章を受章しています。さらに1969年には、長崎市名誉市民の称号を授与されました。

1977年9月5日、田川は長崎市内の病院で81歳で死去しました。同年9月19日には長崎市公会堂で長崎市による公葬が営まれ、その功績が改めて称えられました。

田川の家族構成は、妻の澄子、長男の融、長女の恵子、次女の智子がいます。長男の融は、中央大学法学部を卒業後、日本テレビ放送網の常務取締役や熊本県民テレビの社長を務めました。次女の智子の夫である鈴木一郎は、長崎県教育委員会の委員長や長崎日米協会の会長などを務めました。また、外孫の鈴木史朗は、第36代長崎市長を務めています。

田川務は、長崎市の戦後復興に大きく貢献した人物として、現在でもその功績が語り継がれています。

参考文献
* 歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第3巻、歴代知事編纂会、1983年

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