大沢清

大沢 清

（おおさわ きよし）

1916年12月1日に神奈川県鎌倉郡川口村（現在の藤沢市片瀬海岸）で生を受けた大沢清は、戦前から戦後にかけて日本のプロ野球界で活躍した内野手です。右投げ右打ちで、プロ野球選手の大沢紀三男氏、大沢啓二氏は実弟にあたります。また、タレントの大沢あかね氏は彼の従孫娘です。

球歴

神奈川県立商工実習学校、そして國學院大學を経て、1937年に名古屋軍に入団し、プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせました。ルーキーイヤーから内野ならどこでも守れるユーティリティプレイヤーとして重宝され、その才能を発揮します。特に打撃面では、1939年には川上哲治氏に次ぐリーグ2位となる打率.310を記録するなど、チームの主力として貢献しました。

第二次世界大戦の終結後、1946年には球団名を中部日本軍と改めてプロ野球に復帰します。その後、1949年には東急フライヤーズへと移籍しました。

1950年、大沢は新規に設立された大洋ホエールズへ移籍します。ここでは一塁手の定位置を獲得し、チームの主軸として活躍しました。この年、彼はシーズン45二塁打という、当時の日本記録を樹立する快挙を達成します。打撃も好調で、リーグ5位となる打率.327を残し、大洋打線の中心として存在感を示しました。翌1951年には登録名を「大沢 伸夫（おおさわ のぶお）」に変更してプレーを続けました。

1952年、当時広島カープの監督だった石本秀一氏の強い要望もあり、大沢は広島へと移籍します。35歳を迎えており、チーム最年長でしたが、登録名を「大沢 薫史（読み不明）」として新たなスタートを切りました。開幕直後は四番打者として打撃成績のトップを快走するなど驚異的な活躍を見せますが、シーズンを通しては失速。それでも最終的にはチームトップの打率.279（リーグ16位）と43打点をマークし、若いチームを牽引しました。1953年からは再び登録名を「大沢 伸夫」に戻します。この年、松竹ロビンスから移籍してきた小鶴誠氏に四番を譲りますが、三番・一塁手として全試合に出場するなど、依然としてレギュラーとして奮闘しました。現役最後の年となった1954年も規定打席に到達し、打率.257で打撃成績25位に入るなど、30代後半になってもその実力は健在でした。

選手としての記録

大沢清氏は、長年のキャリアの中でいくつかの記録を達成しています。

1000試合出場: 1951年4月18日に達成。これはプロ野球史上5人目の快挙でした。
1000安打: 1951年5月10日、後楽園球場で行われた対国鉄スワローズ戦で、田原基稔投手から放ち達成。史上6人目の記録です。
* 1試合6安打: 1951年8月26日の対広島カープ戦で、6打数6安打を記録しました。これは史上4人目、そして2リーグ制導入後としては初の記録であり、現在も2リーグ制後の最多タイ記録として残っています。

選手としての特徴と人物

打者としては、右中間方向への流し打ちを得意としていました。巧みなバットコントロールで安打を量産したと言われています。

球場の外では、身だしなみに気を配る紳士的な一面があり、ファンからも慕われる存在でした。

引退後の活動

現役を引退した後も、大沢清氏は野球に携わりました。ノンプロの東京ガス硬式野球部に補強選手として参加し、都市対抗野球に出場しています。また、母校である國學院大學硬式野球部の発展にも尽力し、1960年には同部の監督に就任しました。

野球界を離れてからは、教育者としての道を歩みます。1965年から國學院大学文学部の講師を務め、その後教授へと昇進し、教鞭を執りました。

最期

大沢清氏は2005年7月14日に逝去しました。享年88でした。

野球選手として、また教育者として、大沢清氏の生涯は多岐にわたる功績に彩られています。特に、高齢での広島入団後もチームリーダーとして奮闘した姿は、今なお語り継がれるエピソードの一つです。

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