大河への道

映画『大河への道』：知られざる地図完成の裏側と人々

『大河への道』は、2022年5月20日に公開された日本映画です。中井貴一さんが主演を務め、企画にも携わっています。原作は立川志の輔さんの創作落語『伊能忠敬物語 -大河への道-』です。

あらすじ

物語は、伊能忠敬が主人公の大河ドラマ誘致に奔走する現代の香取市役所職員・池本と、伊能忠敬の日本地図完成に隠された秘密を巡る江戸時代の出来事が並行して描かれます。

池本は、観光課のプレゼンテーションで伊能忠敬の大河ドラマ化を提案したことから、その実現に向けて動き出すことになります。脚本家には大物脚本家の加藤が選ばれますが、加藤は当初、依頼を固辞します。しかし、池本の熱意に根負けし、伊能忠敬記念館を訪れた加藤は、伊能の偉業に感銘を受け、脚本作りに乗り出します。そんな中、加藤は伊能忠敬が地図完成の3年前に亡くなっていたという事実に直面します。

一方、時代は江戸時代。天文学者の高橋景保は、伊能忠敬の弟子たちから、師の死を隠して地図作りを続けさせてほしいと懇願されます。幕府からの資金援助が打ち切られることを恐れた弟子たちの願いを聞き入れた高橋は、幕府を欺きながら地図作りを続けることになります。しかし、勘定方の神田が伊能の死を疑い、高橋の周辺を調べ始めます。高橋と伊能組は、様々な策略を駆使して神田の追求をかわしながら、地図の完成を目指します。

ついに地図は完成し、将軍に披露されます。その出来栄えに感銘を受けた将軍は、伊能の労をねぎらいます。現代に戻り、『大日本沿海輿地全図』に秘められた事実に感動した池本は、加藤に弟子入りし、自ら脚本を書き上げることを決意します。

制作の背景

原作となった落語は、立川志の輔さんが伊能忠敬記念館を訪れた際の感動がきっかけで生まれたものです。中井貴一さんは、この落語を映像化することで、時代劇の新たな可能性を切り開けると確信し、映画化を企画しました。

中井さんは、時代劇を日本の文化として残すために、肩肘を張らずに鑑賞しやすい映画を目指したと語っています。また、現代と江戸時代の場面で同じキャストが異なる役を演じることで、人間の普遍性を表現しようとしたと述べています。

脚本は、大河ドラマ「伊能忠敬」の脚本家である加藤幸造さんが担当しました。映画では、原作の落語から設定が大きく変更されており、脚本家の変更がその理由の一つです。

キャスト

池本保治 / 高橋景保：中井貴一
木下浩章 / 又吉：松山ケンイチ
小林永美 / エイ：北川景子
安野富海 / トヨ：岸井ゆきの
加藤幸造 / 源空寺和尚：橋爪功

スタッフ

原作：立川志の輔
監督：中西健二
脚本：森下佳子
* 音楽：安川午朗

映画が描くもの

『大河への道』は、伊能忠敬の日本地図完成という偉業の裏に隠された人間ドラマを描き出します。また、現代と過去を交錯させることで、時代を超えて変わらない人間の情熱や葛藤を描いています。この映画は、歴史の重みを感じさせながらも、笑いと感動に満ちたエンターテインメント作品として、多くの観客を魅了しました。

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