大河内山荘

大河内山荘

大河内山荘（おおこうちさんそう）は、京都市右京区の嵯峨地区に位置する美しい日本庭園です。この庭園は、時代劇俳優である大河内傳次郎が自身の別荘として設計し、造営した回遊式庭園です。大河内傳次郎は、映画界の著名人であり、その名は日本の映画史に刻まれています。

沿革

大河内山荘は、昭和9年（1931年）、當時34歳の傳次郎自身の手によって設計が始まりました。目的は、消えゆく運命にあるフィルムに代わる、永遠の美を追求することでした。當時の映画出演料の多くを費やし、64歳で他界するまでの約30年間、彼はこの庭園を少しずつ造り上げていきました。
この庭園は、小倉百人一首で有名な小倉山の南東面に位置しており、かつては約2万平方メートルの荒れ地でした。嵐山公園（亀山公園）によって囲まれたこの場所は、自然の美しさを享受できる理想的な立地です。

往年の著名な招待客

伝次郎の別荘であるこの山荘には、かつての映画界のスターたちが数多く招かれていました。高峰秀子、片岡千恵蔵、山田五十鈴、京マチ子など、彼の共演者たちが交流し、一緒に時間を過ごした記録があります。これらの出会いや交流は、傳次郎の人生に豊かな彩りを加えていたことでしょう。

庭園と建物

大河内山荘の庭園は、東には嵐山、遠くには比叡山、西には保津峡を借景にした回遊式のデザインが特徴です。庭の造営は、庭師の広瀬利兵衛と共作で行われました。
また、山荘内にはいくつかの重要な文化財が存在します。中でも中門、大乗閣、持仏堂、滴水庵は登録有形文化財として指定されています。これらの建物は、寝殿造、書院造、数寄屋造の日本の伝統的な住宅様式が融合しており、傳次郎の構想に基づいて数寄屋師の笛吹嘉一郎が施工しました。

• - 中門: 日本の伝統的な門で、美しい庭園の顔ともいえる大切な場所です。
• - 大乗閣: 日本建築の美を存分に感じられる空間であり、見学者を魅了します。
• - 持仏堂: 宗教心の厚い傳次郎が座禅を行った場所で、彼の精神が息づく空間です。
• - 滴水庵: 茶室として使用されており、和の心を体感できる場所となっています。

加えて、月香亭は茶室としての役割を果たしており、訪れる者に日本の茶道文化を感じさせてくれます。そして、大河内傳次郎資料館では、彼の代表作の一つ「丹下左膳」の姿が収められた写真を見ることができ、彼の魅力を知る手がかりになります。

サービスその他

1998年、傳次郎の生誕100周年を記念して、大河内山荘の写真集が発行されました。この写真集は、山荘内の売店で購入することができます。

所在地と交通アクセス

大河内山荘は、京都府京都市右京区嵯峨小倉山田淵山町に位置しています。北緯35度1分2.20秒、東経135度40分9.66秒の地点にあり、嵐山駅（京福電気鉄道）から徒歩20分ほどの距離にあります。また、トロッコ嵐山駅からはすぐにアクセス可能です。周辺には、天龍寺などの観光地にも恵まれており、訪れた際にはぜひ立ち寄ってみることをおすすめします。

もう一度検索