大滝山三重塔

大滝山三重塔： 徳島市の記憶に残る美しい塔

大滝山三重塔は、かつて徳島県徳島市眉山町の持明院境内に存在した仏塔です。眉山の大滝山に位置し、その美しい姿は徳島市のランドマークとして、長きにわたり市民に愛されてきました。しかし、1945年（昭和20年）の徳島大空襲によって惜しくも焼失。現在は、その跡地に聖観音堂が建立されています。

江戸時代に建立、市民の心の拠り所として

伝承によれば、三重塔は江戸時代の寛延年間（1748年 - 1752年）頃、大阪治右衛門と吉田作兵衛によって持明院に建立されました。建立後、三重塔は地域の信仰の中心として、また美しい景観の一部として、人々の生活に深く根ざしていきました。

明治初年の廃仏毀釈の際には、持明院が無住となり一時衰退しましたが、三重塔は幸いにも取り壊されることなく残されました。しかし、1939年（昭和14年）頃には売却計画が持ち上がり、三重塔の存続が危ぶまれる事態となります。この時、市民はこぞって反対運動を起こし、その結果、三重塔は徳島市に寄贈されることとなり、その美しい姿が守られることになったのです。

徳島大空襲で焼失、その記憶は今も

しかし、三重塔の運命は、第二次世界大戦末期の徳島大空襲によって無残にも断たれます。1945年（昭和20年）の空襲で、三重塔は敷地内の仁王門や薬師堂（本堂）などとともに焼失してしまいました。市民は一瞬にして大切なランドマークを失い、大きな悲しみに暮れました。

戦後、三重塔の再建を望む声も上がりましたが、実現には至りませんでした。1975年（昭和50年）には、三重塔の跡地に聖観音堂が建立され、現在に至っています。

現在の姿とアクセス

聖観音堂は、三重塔の記憶を継承し、今も静かに佇んでいます。徳島市内を一望できる高台に位置し、訪れる人々に安らぎを与えています。

アクセス

JR「徳島駅」より徒歩で約20分
徳島自動車道「徳島インターチェンジ」より車で約25分



大滝山三重塔は、その美しい姿を直接見ることはできませんが、写真や資料を通して、当時の姿を偲ぶことができます。また、跡地に建立された聖観音堂を訪れることで、三重塔の歴史と、市民の記憶に深く刻まれたその存在を感じることができるでしょう。


関連項目

滝薬師
白糸の滝 (徳島県)

参考文献

「阿波名所図会」（探古堂墨海）
「阿波大滝山[三重塔]]」『日本の塔婆』([https://web.archive.org/web/20150516030141/http://www.d1.dion.ne.jp/~s_minaga/sos_ootakisan.htm)


大滝山三重塔は失われてしまいましたが、その歴史と記憶は、今も徳島の人々の心の中に生き続けています。

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