寛延

寛延（かんえん）

寛延は、1748年から1751年の期間を指す日本の元号です。この時期、桃園天皇が即位しており、江戸幕府の将軍は徳川家重が務めていました。寛延の元号の始まりは、延享5年7月12日（1748年8月5日）で、桃園天皇の即位による改元により始まりました。この改元は、当初は1748年4月25日を予定していたものの、さまざまな事情から実際には2ヵ月半遅れて実施されました。特に、前将軍の法要が改元日と重なったことや、朝鮮通信使の来日中であったため、幕府が強く改元に反対したことが背景にあります。

寛延年間の主な出来事

寛延年間には多くの重要な出来事がありました。元年、画譜や画論書の『芥子園画伝』が翻刻されたことや、土佐藩に関公膳という医者が招かれたことにより、土佐地方に日傘の風習が持ち込まれました。この影響で、「公膳傘」と呼ばれるようになり、その後の文化に影響を与えました。

また、同年の8月には『仮名手本忠臣蔵』が大阪・竹本座で初演され、その後すぐに歌舞伎としても上演されました。9月には、加賀騒動により流されていた大槻伝蔵が自害するという事件が起こり、時代の緊迫した雰囲気を示しています。10月には、寺社奉行の大岡忠相が奏者番を兼任し、一万石の大名となりました。12月には琉球からの慶賀使が将軍家重に拝謁することとなりました。

新しい年の2年には、土佐藩にて上士が「手傘」を使い始め、姫路では寛延一揆が発生しました。5月には幕府が定免制を全面施行し、同時に著名な事件として、稲生平太郎が怪奇現象に遭遇し、後に『稲生物怪録』としてまとめられることとなります。

その後、3年には幕府が農人の苗字帯刀を禁止するなどの政策を行い、寺社の富突き禁止令が出されました。4年には松前藩が加藤嘉兵衛を樺太に派遣し、田沼意次が側用取次に就任するなど、幕府の政治的な動きが続きました。

有名な人物とその影響

この時期に活躍した人物も多く、例えば大田南畝や田沼意知などの著名な文化人が登場しました。特に大田南畝は狂歌師として知られ、当時の文学や芸術の発展に寄与しました。また、蔦屋重三郎という版元もこの時期に重要な役割を果たしました。

寛延の時代は、日本史においても様々な文化や社会の変化が訪れた時期であり、幕末・明治に向けた新たな動きの前触れとも言える時代でした。多くの文化的な風習や作品がこの時期に生まれ、影響を及ぼしたことは、日本の歴史においても重要な意義を持っています。

このように、寛延の時代は単なる歴史的な年号にとどまらず、江戸時代の多様な文化と、社会における変化の象徴的な期間として刻まれています。

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