大濱信泉

大濱 信泉

大濱信泉（おおはま のぶもと、1891年10月5日 - 1976年2月13日）は、日本を代表する法学者であり教育者として知られる。専門は商法であり、早稲田大学の第7代総長（1954年 - 1966年）や、日本野球機構の第5代コミッショナー（1971年 - 1976年）を歴任した。旧名は大濱信陪であり、妻は評論家の大浜英子である。

彼は沖縄県石垣島で生まれ、1910年に沖縄師範学校に入学するが、翌年、ラブレターに関するトラブルで退学処分を受ける。その後、上京して郁文館中学校や早稲田大学高等予科に進み、1918年に早稲田大学法学部を首席で卒業を果たした。卒業後、三井物産に勤務し、その後は弁護士としても活動する。

1922年には早稲田大学に講師として戻り、助教授としてイギリス・フランス・ドイツに留学した。1927年に帰国後、法学部教授として、手形法や海商法、イギリス法などを講義した。その一方で、東京八重山郷友会会長や在京沖縄県人会副会長を務めるなど、沖縄県人社会においても重要な役割を果たしていた。

戦後の1945年には早稲田大学法学部長に就任し、1954年には総長に就任した。在任中、私立学校法の制定や、文部省との関係において重要な役割を果たす。文部省が私立学校運営への介入を試みた際には、GHQに直談判を行い、その撤回を実現させるなどした。さらに、沖縄復帰運動にも積極的に関与し、1962年には有志とともに「沖縄問題を話し合う会」を設立し、1964年には協議会の代表委員となった。この活動は、沖縄の本土復帰に向けた重要な基盤を築くことに寄与した。

また、空手の普及にも大きな理解を示し、1931年に早稲田大学空手部が創設された際には、初代会長としてその発展を助けた。戦後にはGHQや文部省に対し、空手を純粋な武道として認識させるための努力を続け、1946年には全国に先駆けて空手部の正規稽古を再開させた。

1960年代初頭には、学費引き上げを巡る学園紛争が発生し、1966年に理事全員と共に総長を辞職した。卒業式では涙を流しての辞任となった。最晩年には沖縄国際海洋博覧会協会長や日本野球機構のコミッショナーを歴任し、多彩な活動を展開した。

1976年2月13日に肺水腫のため84歳で逝去し、2月21に行われた合同葬には多くの追悼者が集まった。以降、1997年には彼を顕彰するための大濱信泉記念館が石垣市に設立された。

大濱は、その業績により、1965年に勲一等瑞宝章、1972年に勲一等旭日大綬章、没後には勲一等旭日桐花大綬章を受章するなど、数多くの栄典を獲得した。また、多くの著作や論文を残し、商法と法学教育における先駆者としての地位を確立した。

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