大熊由紀子

大熊由紀子とは

大熊由紀子（おおくま ゆきこ）は、日本の科学ジャーナリストとして多くの実績を残している人物です。1940年生まれで、東京都立日比谷高等学校を卒業後、東京大学教養学部で科学史と科学哲学を専攻しました。その後、朝日新聞社に入社し、さまざまな役職を経て、1984年には女性として初めて朝日新聞の論説委員に就任しました。彼女は医療、福祉、科学という専門分野で、17年間にわたり社説を担当し、特に原子力発電に関連する問題に注目しました。

経歴

大熊さんのキャリアは、朝日新聞社での記者としてスタートしました。社会部や科学部などで経験を積み、次長の地位に就くまでに至りました。1976年の夏からは、朝日新聞において原子力発電に関する連載記事を48回にわたって執筆し、この内容をもとに著書『核燃料 : 探査から廃棄物処理まで』を1977年に発表しました。この著作は、原発に関する社論の変遷に大きな影響を与えました。

大熊さんは、2001年からは大阪大学大学院人間科学研究科で教授を務め、2004年には国際医療福祉大学大学院教授に就任しました。そのほかにも、佛教大学や日本福祉大学の客員教授を務めたほか、数多くの公的委員会や団体で活躍しています。たとえば、介護対策検討会や国民生活審議会など、福祉と健康を柱にした多様な分野で活動をしています。

2000年には、第4回女性科学者の会功労賞を受賞しました。

原発に対する考え方

特に印象的なのは、東京電力福島第一原発事故の後も大熊さんが原発に対して持ち続けた立場です。彼女は原発を「薬」にたとえ、「薬害の問題はあるが、薬そのものをなくすことはできない」と発言し続けました。このように、科学と社会とをつなぐ橋渡し役として、彼女の役割は非常に重要です。

著作活動

大熊由紀子は、多くの著作を残しています。例えば、単著には先に述べた『核燃料 : 探査から廃棄物処理まで』をはじめ、『女性科学ジャーナリストの眼』、さらには『恋するようにボランティアを : 優しき挑戦者たち』などがあり、彼女の視点や経験が詰まっています。また、編著や共著においても、多様な視点を取り入れた作品を発表し続けています。

彼女の著作は、特に医療や福祉に関連する分野での深い洞察と考察が評価され、多くの読者に影響を与えています。

まとめ

大熊由紀子は、科学ジャーナリズムにおける重要な人物であり、彼女の影響力は日本の医療・福祉・科学の発展に寄与しています。その業績は今日でも多くの人々に学びとインスピレーションを与え続けています。

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