大牟田空襲

大牟田空襲：戦禍に消えた炭都の記憶

大牟田空襲は、第二次世界大戦末期、アメリカ軍によって福岡県大牟田市に対して行われた一連の空襲です。石炭や化学工業が盛んな大牟田は、軍需都市として標的にされ、市民生活は大きな打撃を受けました。

空襲の背景

大牟田市は、九州北西部に位置し、石炭、石炭製品、化学肥料、爆薬などを生産する重要な工業地帯でした。また、国内最大級の石炭積出港を有していたため、軍事的な重要拠点とみなされ、アメリカ軍の攻撃目標となりました。

空襲の経緯

1944年11月21日の空襲

最初の大規模な空襲は1944年11月21日。アメリカ陸軍のB-29爆撃機7機が、市内の東北部工業地帯を爆撃しました。この空襲では、死者31名などの被害が発生し、アメリカ軍もB-29爆撃機1機を失いました。

1945年6月18日の空襲

1945年6月18日には、B-29爆撃機116機による大規模な空襲が行われました。市街地に対し約700トンの焼夷弾が投下され、死者260名、負傷者362名、多数の家屋が焼失する甚大な被害が出ました。しかし、アメリカ軍の目標達成率は低く、再度の空襲が行われることとなりました。

1945年7月27日の空襲

1945年7月27日には、B-29爆撃機124機により、約875トンもの焼夷弾が投下されました。この空襲により、市街地のほとんどが焼失し、死者602名、負傷者1,038名という壊滅的な被害をもたらしました。アメリカ軍は日本軍の迎撃を受け、1機が撃墜されています。

1945年8月の空襲

沖縄戦終結後、1945年8月7日には、B-24 リベレイター23機、P-47 サンダーボルト18機が参加し工業地帯への空襲が行われました。死者240名、負傷者300名などの被害が出ています。8月8日にも爆撃が行われ、市民に犠牲者が出ました。

主な被災建造物

大牟田市役所、大牟田税務署、大牟田郵便局、大牟田電話局、国鉄大牟田駅、西鉄栄町駅、三井鉱山三池鉱業所事務所など、市内の主要な建造物が空襲により大きな被害を受けました。

慰霊

空襲の犠牲者を慰霊するため、普光寺、藤田天満神社、延命公園に供養碑が建立されています。

大牟田空襲の教訓

大牟田空襲は、戦争の悲惨さを物語る出来事として、後世に語り継がれています。空襲の記憶を風化させず、平和の尊さを改めて認識することが、私たちに課せられた使命と言えるでしょう。


参考文献
奥住喜重『B-29 64都市を焼く 1944年11月より1945年8月15日まで』揺籃社、2006年
小山仁示『米軍資料 日本空襲の全容 マリアナ基地B29部隊』東方出版、1995年
大牟田市史編集委員会 編『大牟田市史 中巻』大牟田市、1966年

関連項目
日本本土[[空襲]]
マッターホルン作戦
第58爆撃団
* 大村大[[空襲]]

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