大田桜子

大田桜子

日本の作曲家、編曲家。幅広い編成の合唱作品を中心に、教育活動と創作活動の両面で重要な役割を果たしている。

経歴

神奈川県にて誕生。国内有数の音楽教育機関である東京藝術大学音楽学部作曲科を卒業後、同大学院音楽研究科作曲専攻にてさらに深く音楽の創作理論と技術を学んだ。

専門分野における教育者としてのキャリアも長く、過去には尚美学園大学音楽表現学科にて非常勤講師として教壇に立った経験を持つ。2025年現在、大田桜子氏はフェリス女学院大学音楽学部音楽芸術学科の准教授を務めており、音楽を志す学生たちの指導にあたっている。また、鎌倉女子大学児童学研究科の教授も兼任しており、児童教育の分野における音楽の重要性についても研究・教育を行っている。これらの活動を通じて、次世代の音楽家や教育者の育成に多大な貢献をしている。

音楽活動と作品

大田桜子氏の創作活動の核心は合唱音楽にある。混声、同声（少年少女）、女声といった様々な編成のために、数多くの楽譜を世に送り出している。その作品は、歌詞に込められたメッセージを大切にしつつ、歌い手の声の響きを最大限に引き出すような、情感豊かで美しいハーモニーと旋律が特徴である。これらの楽曲は、学校の音楽教育現場や市民合唱団など、幅広い場で親しまれ、歌い継がれている。

特に多くの組曲を手がけており、一つのテーマや詩人の世界を掘り下げた作品群は、合唱団の主要なレパートリーとなっている。

混声合唱曲

様々な詩人に触発された組曲や、合唱コンクールなどで歌われることの多い単曲がある。

混声合唱組曲:
『炎への讃歌』（作詞：山本瓔子）
『みんなを好きに』（作詞：金子みすゞ）
『私がいちばん大切にしたいもの』（作詞：星野富弘）
『母の手』（作詞：星野富弘）
混声合唱とピアノのための『歌はどこから』（作詞：みなづきみのり）
『シルクロードの詩』（作詞：大田倭子）
『アジアの五つのスケッチ』（作詞：大田倭子）
主な単曲（一部）:
「空 〜ぼくらの第2章〜」（作詞：深田じゅんこ）
「響け絆の歌〜合唱コンクールに捧げる〜」（作詞：渡瀬昌治）
「海より深い愛」（作詞：渡瀬昌治）
「心の声」（作詞：渡瀬昌治）
「卒業讃歌」（作詞：渡瀬昌治）
「地球誕生」（作詞：渡瀬昌治）
「眩しく光る歌」（作詞：渡瀬昌治）

同声合唱曲

子どもたちの声のために書かれた組曲や、学校行事などで歌われる単曲などがある。

同声（少年少女のための）合唱組曲:
『のびる』（作詞：大田倭子）
まど・みちおの詩による女声と子どものための合唱組曲『うたを うたうとき』（作詞：まど・みちお）
『地球のかぞく』
主な単曲（一部）:
「この☆（ほし）のゆくえ」（作詞：森絵都）
「ぼくらのエコー」（作詞：荒井良二）
「変わっただけだよ ヘンじゃない」（作詞：宮藤官九郎）
「そのときぼくがそばにいる」（作詞：山本瓔子）
「生きてる地球」（作詞：金澤智恵子）
「もういちどの星」（作詞：里乃塚玲央）
「くじらが空を泳ぐ」（作詞：渡瀬昌治）

女声合唱曲

女性の声の特性を生かした表現豊かな作品が多い。

女声合唱組曲:
女声合唱とピアノのための『花束をあなたに』（作詞：金沢智恵子）
女声合唱とピアノのための『花の詩』（作詞：金沢智恵子）
『ねこに こばん』（作詞：まど・みちお）
無伴奏女声合唱のための『初恋』（作詞：島崎藤村）
女声合唱とピアノのための『この世でいちばんやさしい歌』（作詞：新川和江）
主な単曲（一部）:
「歌を探そう」（作詞：みなづきみのり）
「私はなぜ？」（作詞：みなづきみのり）
「桜の院」（作者不詳『伊勢物語』より）
「その時に祈る」（作詞：山本瓔子）
「鳥 魚」（作詞：宗左近）
「永遠まで半分のところ」（作詞：宗左近）
「螢 螢 螢」（作詞：宗左近）

その他の活動

合唱指導に関する教材も発表しており、[DVD]「大田桜子・八木澤教司 授業で役立つ新曲と指導」などを通じて、現場の教育者への支援も行っている。

大田桜子氏は、作曲家、編曲家、そして教育者として、日本の合唱音楽の普及と質の向上に貢献し続けている。

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