大空港 (漫画)

漫画『大空港』の世界

『大空港』（だいくうこう）、英題は『AIR PORT』は、日本の青年漫画の一作品で、原作は城アラキ、作画は野口賢が手掛けています。本作は1999年から2001年まで『スーパージャンプ』にて連載されていました。物語の舞台は、日本初の24時間空港として知られる関西国際空港。しかし、設立後しばらくの間、アジアの主要な拠点空港としての地位を確立できなかったことから、新たに東京湾沖に「京浜新国際空港」が建設されるという背景があります。

この新空港の開業に伴い、物語は大日本空輸（通称：グランドジャパンエアライン）の地上職係員、いわゆるグランドスタッフの日常に焦点を当てます。特に、1日に5万人を超える乗客が行き交う中で彼らが直面する様々なイレギュラー対応や、人間関係、空港で起きる事件や事故、新設航空会社との競争、そして上層部の思惑といった群像劇が展開されるのです。

作品の特色

本作は、1話から2話で完結する形式で進み、社会派ドラマとして硬派なエピソードが多く据えられています。また、専門的な業界用語も頻繁に登場し、注釈付きで解説されるため、読み手にとっては空港業界のリアルな一面を垣間見ることができる作品となっています。ターミナルの描写は現実の羽田空港第1ターミナル（通称：ビッグバード）をモデルにしており、クリアに描写されています。

さらに、本作は日本の空港やエアラインを題材にした漫画において初めての連載作品であり、独自のポジションを築いています。連載開始から半年後には、他の漫画雑誌で『ビッグウイング』という作品が現実の東京国際空港を舞台にしており、両者は利用者の視点や物語のアプローチにおいて大きな違いがあります。

登場人物について

物語には多くのキャラクターが登場しますが、特に注目すべきは里中翔です。彼は大日本空輸の旅客課チーフで、元航空自衛隊のF-15パイロットという異色の経歴を持っています。民間に移った後は、運航要員からカウンター業務に配置転換されています。彼の周囲には、冷静な判断力を持つサブチーフの矢島怜子や、旅客課で働く梅原りえ、番匠誠がいます。さらに、旅客課の課長を務める木村雄一、部長の西條孝吉、ツアーコンダクターの太田桃、そしてキャビンアテンダントとして活動する桑田理津子や初代スチュワーデスの桑田加奈子など、多彩なスタッフが物語を彩ります。

書誌情報

『大空港』は、ジャンプ・コミックス デラックスから全7巻で刊行されました。物語は1999年6月から2001年3月まで様々なエピソードが収録され、出版社のISBNもそれぞれ異なる版として発行されています。

この作品は、空港のスタッフや運営がどのように機能しているのかを知る良い機会を提供し、リアルな業界の視点を持ちながらも感情豊かなドラマを展開しています。

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