大米龍雲連続殺人事件

大米龍雲連続殺人事件

大米龍雲連続殺人事件とは、1910年代初頭に発生した一連の凄惨な犯罪で、多くの被害者が尼僧であったことから「殺尼魔」とも称されました。この事件は、大正時代の日本において特に話題となり、未解決のまま時を経ることなく、社会に大きな衝撃を与えました。事件の背景には、犯人である大米龍雲の複雑な人生と、彼が犯した数々の凶悪な行為が隠されていました。

犯人の経歴

大米龍雲は1872年に東京の浅草で生まれました。幼少期に両親を失った彼は、大分県の寺に預けられ、住職の元で修行を行いました。彼は「龍雲」という法名を授かるものの、1890年に住職が亡くなり、孤児となり、熊本の柔道道場へ。そこで柔道三段を取得し、日清戦争にも参加しましたが、地雷による負傷で醜い容貌になったことが彼の人生を大きく変えてしまいました。

その後、大米は寺を出て各地を放浪し、流れ坊主として生き延びていく中で次第に犯罪に手を染めることになります。強盗や窃盗を繰り返し、出入獄を経験しながらも、1913年に出所後はその犯行が残虐性を増しました。

残虐な犯行の数々

大米が出所した後の犯行は、特に凶悪なものでした。彼は尼寺を狙い、住職や尼僧を襲って強姦し、金品を奪うだけでなく、目撃者を殺害し犯行を隠蔽するという残虐な手段を取りました。司法に認定されたところによると、強盗殺人、強盗強姦を含む多くの犯罪があり、実際の被害者数は更に多かったとされています。彼の手にかかる被害者の中には、驚きの声を上げたことを理由に、舌を引き抜かれて命を落とした者も存在しました。

具体的な事件のいくつかとして、1905年には72歳の尼僧を殺害し金品を奪った件や、1913年4月に小田原で60歳の尼僧を騙し強姦の末に海に突き落とした件などが挙げられます。1914年には更なる犯行を重ね、各地で尼寺を襲撃しました。このような残虐行為が続く中、警察には誤認逮捕もあったことから、大米の逮捕は長い間実現しませんでした。

逮捕とその後

大米は1915年8月8日に福岡市で逮捕されました。逮捕は、彼が内妻とともに逃亡中であるとの情報から行われました。逮捕後、彼は東京地方裁判所で死刑を言い渡されます。大米は裁判中も威勢を保ち、死刑の執行をあっさりと受け入れる態度を見せていました。1916年6月26日に死刑が執行される際には、看守に対して堂々とした姿勢を崩さず、最後の瞬間まで余裕を持っていたと言われています。彼の最後の言葉は、目隠しをされる際に「止せやいッ。クタばっちまえばどうせ何も見えねえんだ」と皮肉交じりに述べたものです。

結論

大米龍雲連続殺人事件は、大正時代の日本における社会不安の象徴とも称される悲劇的な事件です。多くの命が奪われたことは決して忘れられるべきではありません。事件の背後には、社会の中で孤立し、矛盾した歴史を持つ人間による凶悪な行為があったということを、今後も注意深く見つめていく必要があります。

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