大脱走

大脱走（The Great Escape）

1963年に公開された『大脱走』は、ジョン・スタージェスが監督を務め、スティーブ・マックイーンやジェームズ・ガーナーを始めとする豪華キャストが出演するアメリカ映画です。この作品は、戦争映画としては異色の存在で、実際の戦闘シーンは登場せず、捕虜たちの集団脱走の物語に焦点をあてています。

原作とその背景

映画『大脱走』の原作は、ポール・ブリックヒルが1950年に出版した同名のノンフィクションです。ブリックヒル自身がドイツ軍の捕虜となり、収容所での脱走計画を経験した内容を基にしています。しかし、映画化にあたり多くの脚色が施されており、原作のストーリーは若干異なる部分があります。スタージェス監督は原作を取り上げ、集団脱走というテーマを通して、不屈の精神を描き出しました。

登場人物とキャスト

この映画では、多くのキャラクターが個性豊かに描かれています。特に、主役のバージル・ヒルツを演じたスティーブ・マックイーンは、印象深い存在感を持ち近未来における自由の象徴とも言われます。彼と共に出演したジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、チャールズ・ブロンソンなども、キャラクターに厚みを与えています。

ストーリーの展開

ストーリーは第二次世界大戦中のドイツに舞台を設定し、朝靄の中に新たに設置された捕虜収容所に捕虜たちが送られてくるシーンから始まります。この収容所は、脱走を繰り返す強者たちを集めて作られたものです。収容所の所長からは「脱出は不可能だ」と告げられるも、捕虜のリーダー、ラムゼイ大佐は「敵軍を混乱させるのが将兵の義務だ」と反発します。

脱走を試みる捕虜たちは、初日から何度も脱出を試みますが、いずれも失敗します。その中で、ヒルツが監視の隙を突き、盲点を突く大胆な行動を促進します。彼は脱走計画をリードするロジャー・バートレットと共に、トンネルを掘る計画を立てます。若手の捕虜たちが集結し、みんなの協力の下で、3本のトンネルが掘られることになります。

脱走計画の実行

ヒルツ、バートレット、そして仲間たちは、素早く脱出の準備を進めて行きます。それぞれの役割が明確になり、彼らは互いに協力しつつも、計画の成功を果たすための細かな動きに徹します。脱走の準備が進む中で、バートレットの指導力により、捕虜たちは徐々に成功に向けた道をたどります。

クライマックスと結末

脱走計画は著しい進展を見せますが、ついに決行の日がやってくる。捕虜たちはトンネルを通じて収容所から脱出を図りますが、運命は複雑に絡み、いくつかの運命的な瞬間が待ち構えています。実際の脱出では76名が成功したものの、その後の捜索で多くの捕虜が悲劇的な運命をたどります。特に、捕虜たちの壮絶な試練と彼らが見せた勇気が、映画を感じさせる瞬間となります。

映画の評価

『大脱走』は、その制作当初から高く評価されており、アカデミー賞の編集賞にノミネートされるなど、数々の賞を受賞しました。また、音楽も高く評価され、特にエルマー・バーンスタインの作る「大脱走マーチ」は、映画の象徴的なテーマ曲として広く知られています。興行的にも成功を収め、歴史的な戦争映画として、今もなお多くの人々に愛されています。

まとめ

『大脱走』は、単なる戦争映画ではなく、人間の精神と不屈の挑戦を描いた作品です。実話をもとにした緊張感あるストーリー展開と、魅力的なキャラクターの数々が、観客に感動を提供し続けています。映画を通して戦争の悲劇と捕虜たちの運命を考えさせられる、永遠の名作であると言えるでしょう。

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