大腸憩室症

大腸憩室症：症状、原因、治療、予防

大腸憩室症とは、大腸の壁の一部が袋状に飛び出した状態（憩室）を指します。憩室そのものは多くの場合無症状で、特に治療は必要ありません。しかし、憩室炎や出血などの合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

症状

大腸憩室症の約60～70％は自覚症状がありません。しかし、一部の人では下痢、便秘、腹部膨満感、腹痛などの症状が現れます。これらの症状は過敏性腸症候群と似ている場合もあります。

さらに、約15％の人では、憩室炎、出血、穿孔、狭窄などの合併症が現れることがあります。憩室炎は、憩室内に便が詰まることで起こり、強い腹痛、発熱、下血を伴うことがあります。重症化すると、穿孔や腹膜炎を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

合併症

大腸憩室症の主な合併症として、以下が挙げられます。

憩室炎: 憩室に炎症が起こる状態。腹痛、発熱、下血などの症状が見られます。
憩室出血: 憩室からの出血。血便や、腹痛を伴わない下血が症状として現れます。出血量は様々で、自然に止血することもありますが、大量出血や反復出血の場合は治療が必要になります。
イレウス: 腸閉塞。腸壁の肥厚や憩室内の糞石などが原因となります。
腹膜炎: 腸管の内容物が腹腔内に漏洩することで起こる炎症。
* 瘻孔: 憩室と他の臓器との間に異常な通路が形成されること。

原因

大腸憩室症の原因は、大腸内圧の上昇です。食生活の欧米化による食物繊維摂取量の減少や肉類の増加、加齢による腸管壁の脆弱化などが、大腸内圧上昇の要因として考えられています。

好発年齢と部位

大腸憩室症は高齢者に多く、70～80代に好発します。40代でも発症する例があります。以前は、欧米人と日本人では憩室の好発部位に違いがあると言われていましたが、近年では日本人でも左側大腸（S状結腸）に憩室が生じる例が増えています。

診断

大腸憩室症は、多くの場合、胃部や大腸検査などの際に偶然発見されます。確定診断には、注腸造影検査や大腸内視鏡検査が行われます。

治療

症状がない場合は、特に治療の必要はありません。しかし、憩室炎や出血などの合併症がある場合は、適切な治療が必要です。憩室炎の場合は、抗生物質の投与や入院による治療が必要になる場合があります。出血の場合は、自然に止血することが多いですが、大量出血や反復出血の場合は、内視鏡による止血処置が必要となる場合があります。

予防

大腸憩室症の予防には、食物繊維を多く含む食事を心がけ、便秘を防ぐことが重要です。野菜、果物、全粒穀物などを積極的に摂取し、十分な水分を摂るようにしましょう。

まとめ

大腸憩室症は、多くの場合無症状ですが、合併症に注意が必要です。食物繊維の摂取を心がけ、健康的な生活習慣を送りましょう。気になる症状がある場合は、医師に相談してください。

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