大芝水門

大芝水門：広島の太田川を支える水門と橋

広島市を流れる太田川水系の旧太田川（本川）に位置する大芝水門は、単なる水門ではなく、道路橋「大芝橋」としての役割も担う重要な施設です。広島デルタの頂点付近にあり、太田川本流を仕切る祇園水門と連携して、河川の水位調節を行うことで、地域の防災や水資源の管理に貢献しています。

建設の経緯と設計

大芝水門の建設は、昭和7年から始まった太田川流域の改修事業の一環として計画されました。放水路整備計画の中で水門設置が決定されましたが、実際の構造は戦後、土木研究所における大型模型実験によって決定されました。水門は左岸（牛田側）に、固定堰（溢流堤）は右岸（大芝側）に配置されています。この配置は、右岸に水門を設置すると流速が増し、河床や構造物の維持管理が困難になること、左岸に設置することで漂流物に対する安全性が高まること、そして当時の平水の流れが左岸寄りであったことなどが理由として挙げられます。また、設計当時、市内を流れる太田川では河川舟運が盛んだったため、船舶の通行を容易にするために、門扉が大きく設計されました。建設工事は昭和36年から始まり、昭和40年に完成しました。

機能と構造

大芝水門は、鋼製のローラーゲート3門からなる可動部と、幅の広い固定部から構成されています。可動部は、水位調節に応じて開閉され、河川流量の制御に重要な役割を果たしています。祇園水門と連動して制御されることで、太田川流域の水位を安定的に保ち、洪水対策や水資源の有効利用に貢献しています。固定堰は、一定の水位を維持する役割を担っています。

堰上高は3.60m、敷高はTP -0.50mです。固定部の幅は92.80m、可動部の幅は1門あたり13.33mです。橋としての機能も持ち合わせており、路線名は市道東4区191号線、幅員は6.0m（7.5m）です。大芝水門の右岸南詰には、祇園水門と大芝水門を管理する国土交通省大芝出張所があります。

地域における役割

大芝水門は、太田川の水位調節という重要な機能に加え、東区と西区を結ぶ唯一の橋としても地域社会に貢献しています。左岸側は祇園新道、右岸側は祇園大橋南詰交差点につながり、地域の交通インフラとして重要な役割を担っています。下流側には京[[橋川]]との分流点があり、その先には北大橋が架かっています。

まとめ

大芝水門は、水位調節と交通インフラの両面において、広島市にとって欠かせない重要な施設です。その歴史と技術、そして地域社会への貢献は、これからも続く太田川の治水と都市の発展に大きく寄与していくでしょう。長年にわたる運用実績と、将来を見据えた維持管理によって、その機能は更に向上し、広島市民の安全と生活を支え続けていくものと期待されます。

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