大草公弼

大草公弼

大草公弼（おおくさ きみすけ、安永4年〈1775年〉 - 文化14年8月24日〈1817年10月4日〉）は、江戸時代後期に活躍した国学者であり、幕臣としても重要な役割を担いました。通称は熊蔵、熊吉、大次郎と称し、号は野木瓜亭を用い、随筆家としてもその名を残しています。彼の子息には、同じく国学者として知られる大草振鷺がいます。

生い立ちと幕府への出仕

公弼は京都二条の御門頭間宮氏の出身でしたが、後に大草氏の養子となり、幕府に出仕することになります。幕府では、膨大な蔵書の管理を担当し、また諸家の系譜を編纂する重要な役割を担いました。これらの職務を通じて、彼は日本の歴史、特に中世史に関する深い知識を培いました。

南朝研究への情熱

公弼は、国学者としての活動の中で、特に南北朝時代の歴史に深い関心を抱いていました。彼は自身の豊富な知識を活かし、南朝に忠誠を尽くした義士たちの事績を詳細にまとめた『南山巡狩録』を著しました。この書物では、南朝の義士たちの忠義心や、彼らが辿った波乱の生涯が克明に描かれています。

さらに、公弼は南朝の文芸についても研究を深め、『南山遺草』を著しました。この書物では、南朝の時代に花開いた文芸作品や、それらを支えた人々の活動が詳細に解説されています。これらの著作は、公弼の南朝に対する深い理解と敬意を示すものであり、幕府にも献上されました。

植木玉厓との交流

公弼は、画家として知られる植木玉厓と親交がありました。玉厓は、絵画を通じて日本の文化や歴史を表現することに情熱を注いでおり、公弼の南朝研究にも深い関心を寄せていました。二人の交流は、互いの知識や芸術観を深め合う上で、重要な役割を果たしたと考えられています。

随筆家としての側面

公弼は、国学者、幕臣としての活動の傍ら、随筆家としても才能を発揮しました。彼の随筆は、当時の社会や文化、人々の生活を描写したものであり、貴重な歴史資料としての価値も有しています。野木瓜亭の号で知られる彼の随筆は、当時の読者から広く支持され、後世にも読み継がれています。

まとめ

大草公弼は、江戸時代後期を代表する国学者の一人であり、幕臣としても重要な役割を担いました。彼の南朝研究は、日本の歴史研究に大きな貢献をもたらし、また随筆家としての活動は、当時の文化や社会を今に伝える貴重な資料となっています。彼の功績は、今日においても高く評価されています。

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