大蔵卿

大蔵卿とは

大蔵卿（おおくらきょう）は、日本の歴史において、朝廷や政府の財政を司る官職の長であり、重要な役割を担ってきました。その歴史は古代にまで遡り、時代とともにその職務内容や組織形態は変化してきました。

古代における大蔵卿

大蔵卿は、大宝元年（701年）に制定された大宝律令によって設置されました。これは、律令制における大蔵省の長官であり、その位階は正四位下に相当しました。「おおくらのつかさのかみ」や「おおくらのかみ」とも呼ばれました。唐名は、大府卿や蔵部尚書とされました。また、藤原仲麻呂による官職の唐風改称期間中は、節部卿という呼称が用いられました。

大蔵卿は、国家の財政を管理し、租税の徴収や国家予算の策定など、重要な職務を担いました。その役割は、現代の財務大臣に相当すると言えるでしょう。

明治時代における大蔵卿

明治時代に入ると、大蔵卿は近代的な政府組織の一部として再編されました。明治2年（1869年）から明治18年（1885年）まで、大蔵省の長官として、近代国家の財政を担いました。この時期の大蔵卿は、財政制度の改革や、殖産興業政策の推進など、日本の近代化に大きく貢献しました。

海外における大蔵卿

大蔵卿は、日本だけでなく、海外の王制国家などにおいても、王室財産の管理や財政を司る官庁の長の訳語として用いられます。特に、イギリスの大蔵省の長である"Lord High Treasurer"の定訳として知られています。イギリスでは、1714年に"Lord High Treasurer"は廃止され、王室財政を担当する機関として大蔵卿委員会(Lords Commissioners of the Treasury)が創設されました。委員長は、イギリスの首相が兼任し、第一大蔵卿（First Lord of the Treasury）と呼ばれます。また、大蔵卿委員会次席は財務大臣が兼任し、第二大蔵卿(en:Second Lord of the Treasury)と呼ばれます。その他、フランスのSurintendant des Financesなどの訳語としても用いられます。

関連事項

大蔵卿法印：大蔵卿の位にあった僧侶に与えられた称号です。
大蔵卿局：大蔵卿の職務を補佐する機関です。


大蔵卿は、日本の歴史において、時代ごとにその役割や組織の形態を変えながらも、国家の財政を支える重要な官職として存在してきました。その歴史を振り返ることは、日本の財政史を理解する上で非常に重要です。

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