大行満

大行満（だいぎょうまん）とは

大行満または大行満位は、日本の密教及び修験道の伝統において、特に千日回峰行を完遂した者に与えられる高い称号です。この称号は、精神的な修行の成果や、独自の修行法による肉体的かつ精神的な鍛錬の証として位置づけられています。

千日回峰行の概要

千日回峰行は、比叡山延暦寺で実践される長期の修行プログラムで、参加者は千日にわたって山を巡ります。その中で、700日間を経た修行者は無動寺明王堂で堂入りの儀式を行い、これに成功すると「行満」と呼ばれるようになります。さらに、千日間の修行を全て終えた者は、正式に「大行満」または「大満行者」と称されることになります。

大行満の特権

大行満の称号を持つ者には特別な権利が与えられます。一つの代表的な特権が、草履を履いたまま、土足で神社や寺院に参拝できることです。この伝統は、9世紀の貞観時代に千日回峰行を開始した相応という修行者の伝説に基づいているとされています。

比叡山以外の山での千日回峰行

比叡山だけでなく、大峯山や求菩提山など、他の山でも比叡山の流れを受けた千日回峰行が行われています。これらの山でも、千日回峰行を満了した者は「大行満」と称され、同様の敬意が表されます。

近年の著名な大行満位者

近代においても、多くの修行者が大行満位を授与されています。以下は、その中でも特に著名な修行者のいくつかです：

• - 箱崎文応（比叡山、1940年満行）
• - 叡南祖賢（比叡山、1946年満行）
• - 葉上照澄（比叡山、1953年満行）
• - 勧修寺信忍（比叡山、1954年満行）
• - 叡南覚照（比叡山、1960年満行）
• - 小林栄茂（比叡山、1960年満行）
• - 宮本一乗（比叡山、1962年満行）
• - 光永澄道（比叡山、1970年満行）
• - 叡南俊照（比叡山、1979年満行）
• - 酒井雄哉（比叡山、1980年・1987年の2度満行）
• - 柳澤眞悟（大峯山、1983年満行）
• - 山田龍真（求菩提山、1986年満行）
• - 光永覚道（比叡山、1990年満行）
• - 上原行照（比叡山、1994年満行）
• - 塩沼亮潤（大峯山、1999年満行）
• - 藤波源信（比叡山、2003年満行）
• - 光永圓道（比叡山、2009年満行）
• - 釜堀浩元（比叡山、2017年満行）

このように、大行満という称号は、精神と肉体の両方にわたる厳しい修行を経た証であり、今なお多くの修行者にとって目指すべき目標として位置づけられています。

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