求菩提山

求菩提山（くぼてさん）

福岡県豊前市と築上郡築上町の境に位置する標高782mの山で、筑紫山地に属しています。古くから修験道の霊山として知られ、山岳信仰の歴史を今に伝える場所です。その歴史的価値から、耶馬日田英彦山国定公園の一部に指定され、史跡名勝天然記念物、重要文化的景観にも選定されています。

歴史

求菩提山は、かつて英彦山、犬ヶ岳と共に修験道の山として栄えました。中世初期までは英彦山の影響下にありましたが、中世末期には聖護院に属し、座主の格式を得て、近世まで約180坊もの勢力を持つほどでした。しかし、幕末期には54坊程度にまで衰退し、明治時代の神仏分離によって求菩提山護国寺は国玉神社となりました。

山頂付近には修験道に関係する「求菩提五窟」と呼ばれる普賢窟、多聞窟、迦陵頻伽が彫られた岩洞窟などの遺跡や遺物が残っています。これらの多くは国宝や重要文化財に指定されています。また、山頂にある国玉神社上宮に至る850段の石段は「鬼のあぶみ」と呼ばれており、山中を荒らしていた鬼が一晩で築いたという伝説が語り継がれています。

文化財

求菩提山は、その歴史的背景から多くの文化財を有しています。

史跡: 求菩提山
国宝: 銅板法華経、銅筥
重要文化財: 豊前求菩提山経塚出土品
重要文化的景観: 求菩提の農村景観
福岡県指定有形文化財: 求菩提山文書
福岡県指定有形民俗文化財: 求菩提山修験道遺品
福岡県指定無形民俗文化財: 求菩提山のお田植祭
福岡県指定天然記念物: 求菩提のボダイジュ、求菩提のヒメシャガ
豊前市指定有形文化財: 覚魔社社殿
豊前市指定天然記念物: 求菩提のクワ

これらの文化財は、求菩提山が歴史的に重要な場所であったことを示しています。

自然と景観

求菩提山は、山頂からの眺望が素晴らしいことでも知られています。南には英彦山や犬ヶ岳が連なり、東には豊前市の市街地、そして周防灘まで見渡すことができます。また、山中には湧き水も多く、豊かな自然が残っています。周辺には英彦山や耶馬渓などの観光地もあり、求菩提山も耶馬日田英彦山国定公園の一部に含まれています。

伝説

求菩提山には、鴉天狗の伝説が伝えられています。豊前市のマスコットキャラクター「くぼてん」は、この鴉天狗にちなんで作られました。

アクセス

求菩提山へは、以下の方法でアクセスできます。

鉄道: JR九州日豊本線宇島駅から豊前市バス岩屋線に乗車し、「求菩提登山口」で下車。
自動車: 東九州自動車道豊前インターチェンジから山頂付近まで約15km。

ただし、冬場は路面凍結や積雪に注意が必要です。

求菩提山は、豊かな自然と歴史、そして伝説が調和した魅力的な山です。登山や文化財巡りを通じて、その魅力を感じてみてはいかがでしょうか。

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