大西一平

大西一平は、1964年5月26日に大阪府大阪市城東区で生まれました。選手としてのキャリアは、大阪市立菫中学校で野球からラグビーに転向したことから始まりました。その才能を見込まれ、大阪工業大学高等学校に進学。卒業後は1年間ニュージーランドでラグビーの腕を磨き、帰国後、明治大学に入学しました。

明治大学時代には、そのアグレッシブなプレースタイルから「壊し屋」という異名で呼ばれ、4年生時には主将として、伝説的な「雪の早明戦」に出場しました。この試合では、試合終了間際の早稲田大学ゴール前での約10分間にわたる攻防で、フォワードを主体とした攻撃を貫き、彼の闘志と戦略が際立ちました。

1989年、大学卒業後に神戸製鋼に入社し、ラグビー部（現神戸製鋼コベルコスティーラーズ）に入部。大八木淳史、平尾誠二らと共に、1990年代前半のチーム黄金期を支える中心選手として活躍しました。1991年から1993年まで主将を務め、チームの7連覇に大きく貢献。1995年に現役を引退し、日本人初のプロコーチとなりました。

プロコーチとしての活動は多岐にわたり、近畿大学、専修大学、桜美林大学など、多くの大学やチームを指導しました。2003年には日本IBMの監督に就任し、チームの成長に貢献しましたが、2007年に退任。その後、2007年には古巣である神戸製鋼のコーチに復帰しました。また、2009年には関西ラグビーフットボール協会の強化アドバイザーに、2010年には常翔学園高校ラグビー部のコーチに就任するなど、指導者としての活動を幅広く展開しました。

2011年には、日本ラグビーフットボール協会の広報委員に就任すると共に、復興支援団体OVAL HEART JAPAN OFFICEを設立。2012年には一般社団法人OVAL HEART JAPANを設立し、代表に就任し、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。2013年からは、複数のチームと契約し、チームアドバイザーとして指導を行い、2015年にはストリートラグビーという新しいスポーツを開発。ラグビーの普及に貢献しています。2016年には一般社団法人STREET RUGBY ALLIANCEを立ち上げ、副代表として活動しています。

大西一平の選手としての特徴は、「勝つために何をすべきか」を常に考え、実践する理論派であったことです。同時に、ラグビーを「ルールのある格闘技」と捉え、体を張ったプレーでチームを牽引しました。ルールのグレーゾーンを突くような反則ギリギリのプレーも辞さず、勝利のために危険な挑戦も厭わない姿勢が、彼のプレースタイルを象徴していました。日本代表については、「選手を選ぶ基準が決まっていない」という理由から、選出を拒否し続けたというエピソードも残っています。

また、メディアにも積極的に出演しており、NHKのスポーツニュース番組でコメンテーターを務めたほか、雑誌やCMなど、ラグビー以外の分野でも活躍しています。

出版物としては、「戦闘集団の人間学〜勝つために、組織は、個人は何をすべきか〜」や「ラグビー ステップアップスポーツ」などがあり、彼のラグビーに対する深い洞察と哲学が窺えます。2017年には、富山市の政策参与にも就任するなど、多方面でその才能を発揮しています。大西一平は、ラグビー界だけでなく、社会全体に貢献する活動を続けている人物と言えるでしょう。

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