大谷瑩潤

大谷 瑩潤の生涯と業績

大谷瑩潤（おおたに えいじゅん、1890年1月13日 - 1973年5月23日）は、浄土真宗における重要な宗教的な指導者であり、また政治家としてもその名を知られています。彼は真宗大谷派の連枝に属し、函館別院の住職を務めた後、宗務総長としても活躍しました。院号を信正院、法名を現澤とし、1973年に83歳で亡くなりました。

来歴

瑩潤は、東本願寺第22世法主である大谷光瑩伯爵の子として生まれました。彼の妻は旧千束藩主小笠原家出身の喬子です。1910年に函館別院の住職に就任し、1941年から1945年には宗務総長を務めました。彼が設立した「中国人俘虜殉難者慰霊実行委員会」は、日中戦争の際に日本に連行され、現地で亡くなった中国側の捕虜の遺骨を送り返す取組みを行いました。この事績は2000年に中国の山西省交城県玄中寺に石碑が建立されることで顕彰されています。

政治家としての活動は、1946年の衆議院選挙に始まります。旧愛知県第2区から出馬し、当選した瑩潤は1期務めました。しかし1947年の選挙で落選し、翌年からは参議院に転身。1950年には全国区からの出馬を果たし、2期にわたって議員としての役割を果たしました。特に1954年2月に保全経済会事件に関する証人喚問を受けたことは、彼の政治家としての重要な出来事とされています。入閣の機会はなかったものの、鳩山一郎内閣時代に国家公安政務次官の役職を務めました。また、自由党（後の自由民主党）に籍を置いていましたが、1960年の日米安全保障条約改定に反対して離党し、参議院同志会に所属しました。

瑩潤の家族もすごい業績を残しています。長男の大谷演慧は父を継いで函館別院の住職に。次に、大谷光暢が亡くなった後は門首代行を務めました。四男の大谷武は日中旅行社会長や社団法人日中友好協会の顧問として活動しました。

人物像

後藤田正晴は、瑩潤の人柄について非常に称賛し、その常識に裏打ちされた優れた人間性を強調しています。「まことに常識的ないい坊さんだった」と述べるコメントからも、彼がどれほど多くの人々に支持されていたかが窺えます。

著作

大谷瑩潤は、著作物も残しています。特に『正信偈講話』（大東出版社、1935年）や『新中国見聞記』（河出新書、1955年）などがあり、彼の思想や当時の情勢に関する見解が記されています。これらの著作は、彼自身の信仰心や政治的視点が反映されており、今後も多くの人に読まれることでしょう。

瑩潤の一生は、宗教界だけでなく政治の場でも重要な影響を及ぼしました。彼の宗教的な活動及び、政治家としての取り組みは、当時の日本において意味深い役割を果たしました。その卓越した業績は、今日においても多くの人々に影響を与え続けています。

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