大谷光暢

大谷光暢（おおたに こうちょう）

大谷光暢は、1903年（明治36年）に誕生し、1993年（平成5年）に89歳で生涯を終えた浄土真宗の僧侶です。法名は闡如（せんにょ）。東本願寺第二十四代法主（のち門首）であり、真宗大谷派の管長も務めました。伯爵の爵位も有していました。

生涯

1903年（明治36年）10月1日、東本願寺第二十三代法主・彰如の長男として生まれました。大谷大学在学中の1924年（大正13年）5月3日には、久邇宮邦彦王の三女で、香淳皇后の妹にあたる智子女王と結婚しました。

1925年（大正14年）9月、父・彰如が財政問題の責任を取って退任したことを受け、22歳という若さで第二十四代法主に就任しました。1947年（昭和22年）には、妻である智子裏方と共に合唱団「大谷楽苑」を結成し、仏教音楽を通じた教化活動を積極的に展開しました。

1969年（昭和44年）4月には、法主、本願寺住職、管長の三つの役職を兼務していた中で、管長職のみを長男である光紹新門に譲ると発表しました（開申事件）。この開申事件を契機として、教義解釈や宗派運営の方針、財産問題などを巡り、改革派が主導する真宗大谷派内局との対立が深まりました（お東騒動）。

1981年（昭和56年）6月、光暢を支持する者も少なくなかったものの、内局との紛争に敗れ、真宗大谷派の宗憲が改正されました。これにより、光暢の地位は、宗祖親鸞以来の法統を継承する教団の指導者という絶対的な「法主」から、教団全体の僧侶・門徒を代表する象徴的な「門首」へと移行しました。

教団の主導権を失った後も、光暢は本願寺の伝統に反するとして、これらの動きを認めませんでした。門首制に移行してからは、公の場に姿を見せることはほとんど無くなりました。

1987年（昭和62年）には、内局が宗教法人「本願寺」を法的に解散し、宗教法人「真宗大谷派」と一体化させました（宗本一体化）。これにより、「本願寺」（通称「東本願寺」）の正式名称は「真宗本廟」となりました。

1993年（平成5年）4月13日、89歳で亡くなりました。法主（門首）としての在職期間は67年でした。

光暢の没後、真宗大谷派第二十五代門首には、大谷暢順の長男である大谷業成が就任しましたが、未成年であったため、鍵役の大谷演慧が門首代行を務めました。しかし、1996年（平成8年）1月、業成は父暢順、弟・大谷実成と共に大谷派から離脱してしまいました。そのため、正式な門首継承式を行っていなかった業成は正式な門首ではないとされました。そして同年、光暢の三男である大谷暢顯（淨如）が大谷派を継承し、真宗大谷派第二十五代門首となりました。

子女

妻：智子女王（久邇宮邦彦王三女）
大谷光紹（法名：興如。浄土真宗東本願寺派第二十五世法主）
大谷暢順（法名：経如。浄土真宗大谷本願寺派第二十五代法主、本願寺文化興隆財団理事長）
大谷暢顯（法名：淨如。真宗大谷派第二十五代門首）
大谷暢道（のち大谷光道に改名。法名：秀如。真宗東派第二十五代法主）
大賀美都子（日本オペラ協会創立者・総監督の大賀寛に嫁す）

まとめ

大谷光暢は、激動の時代に東本願寺の法主として宗派を率い、その生涯は多くの出来事に彩られています。皇族との結婚、音楽を通じた教化活動、そして宗派内部での対立と変革。これらの出来事は、彼の人物像と宗派の歴史を深く理解する上で欠かせない要素となっています。

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