大貝恭史

徳島県徳島市に1972年7月19日に生まれた大貝恭史（おおがい やすふみ）氏は、日本の元プロ野球選手であり、引退後はコーチも務めた人物です。現役時代のポジションは外野手で、左投げ左打ちでした。愛称は「シジミちゃん」として多くのファンに親しまれていました。

アマチュア時代

大貝氏は鳴門高校に進学し、野球部で活躍しました。高校時代の最高成績としては、2年生時の春にチームが四国大会で優勝を飾ったことが挙げられます。卒業後は社会人野球の強豪、NTT四国へ入社し、ここでも野球を続けました。NTT四国時代には、都市対抗野球大会と社会人野球日本選手権大会という社会人野球の二大大会に3年連続で出場し、主力選手としてチームを牽引しました。当時のチームには、後にプロ野球界に進むことになる山部太氏や西川慎一氏といった好投手たちが同僚として在籍しており、高いレベルの中で実力を磨きました。

プロ野球選手時代

社会人野球での実績が評価され、1993年に行われたプロ野球ドラフト会議において、日本ハムファイターズから4位指名を受け、プロ入りの夢を叶えました。

ルーキーイヤーとなった1994年シーズンから、その非凡な才能を見せつけます。同年4月9日に行われた開幕戦では、新人ながら「9番・中堅手」として堂々スタメン出場。この記念すべきプロデビュー戦で、大貝氏は外野フェンスに激突するほどの気迫溢れるプレーで難打球を好捕するなど、高い守備能力を披露しました。さらに打席でも3安打を放つ猛打賞の活躍を見せ、チームの勝利に大きく貢献する鮮烈なデビューを飾りました。

開幕戦での活躍以降、大貝氏は主にその俊足と堅実な守備力を活かした役割を担うことが多くなります。試合終盤の守備固めや、盗塁を期待される代走として出場し、チームにとって欠かせない存在となりました。フルシーズンを通してレギュラーポジションを掴むまでには至りませんでしたが、持ち前のスピードと守備範囲の広さでチームに貢献しました。

印象深いエピソードとしては、1995年4月22日に東京ドームで行われた西武ライオンズ戦での出来事があります。この試合で日本ハムの先発、西崎幸広氏は7回まで完璧な投球を見せ、パーフェクトゲームの期待がかかっていました。しかし、8回表の先頭打者、デストラーデ氏が放ったセンター方向への打球を、守備についていた大貝氏が見失ってしまい、結果的にこれが三塁打となって西崎氏のパーフェクト記録が途絶えることとなりました。この後、西崎氏は同年7月5日に同じ西武戦でノーヒットノーランを達成しています。

一軍での定着は叶いませんでしたが、ファーム（二軍）では主力として活躍を続け、1997年にはファーム日本選手権において最優秀選手（MVP）に輝くなど、二軍レベルでは傑出した成績を残しました。プロ通算では、代走や守備固めが主な出場機会であったため、目立った打撃成績は残せませんでしたが、その献身的なプレーでチームを支えました。

プロ生活の間には、登録名の変更も経験しています。入団当初は「大貝恭史」でしたが、1998年には「大貝宜史」に、1999年シーズン途中からは「大貝康輔」と改名しました。そして、2002年シーズンの途中から再び「大貝恭史」に戻しています。背番号は、選手としては「52」を、コーチとしては「85」を使用しました。

主なプロ野球での記録は以下の通りです。

初出場・初先発出場：1994年4月9日、対千葉ロッテマリーンズ1回戦（東京ドーム）、9番・中堅で先発出場
初打席・初安打：同上、3回裏に小宮山悟投手から単打
* 初打点：1994年5月1日、対福岡ダイエーホークス3回戦（東京ドーム）、2回裏に内山智之投手から適時三塁打

2002年シーズンをもって、8年間の現役生活にピリオドを打ち、引退しました。

引退後

現役引退後、大貝氏は野球界に留まり、指導者としての道を歩みました。2003年から2005年までの3年間、古巣である北海道日本ハムファイターズで外野守備走塁コーチを務め、後進の指導にあたりました。

コーチ退任後も、北海道に留まり、一般企業で会社員として働きながら、大学で学び直すという珍しいキャリアを選択しました。その後は、仕事の関係で活動の場を関西や自身の故郷である四国地方へと移したとされています。

プロ野球選手として、またコーチとして、そしてビジネスマンとして、多方面で活躍する大貝恭史氏は、その真摯な姿勢で多くの人に影響を与えています。

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