大道詰将棋

大道詰将棋についての詳細

大道詰将棋（だいどうつめしょうぎ）は、道端や縁日などで一般の人々に提供される詰将棋の一形態です。わかりやすく見える問題が多いですが、実際には巧妙な受けが用意されているため、簡単には詰ませることができません。そのため、意外と奥深い楽しみがあります。

歴史的背景

大道詰将棋の起源は大正時代前期にさかのぼります。特に二人の人物、野田圭甫と荻野龍石がそれぞれの地域で始めたとされます。彼らはまずは道端で将棋の定跡に関する講義を行い、棋書を販売していました。詰将棋はもともと集客の手段として用いられ、その後、商売のメインとなりました。堀内宗善のように、古典をもとにした問題を作成し、詰将棋書籍を販売する人も現れました。

また、大道詰将棋は賭博の側面もあり、料金を支払った客が問題を解決できれば賞品を得ることができる仕組みでした。この際、解けない場合にはお金が失われるため、思わぬ損失を被ることも多々ありました。著名な棋士、升田幸三が幼少時に大道詰将棋で生計を立てていたエピソードにも同様の内容が見られます。

1923年の関東大震災前後からは全国に広まるようになり、戦後も多くの場所で見かけられるようでした。しかし、道路交通法の施行後、取締りが厳しくなり、現在ではほとんど見かけなくなりました。

テキ屋との関連

大道詰将棋は、一般にテキ屋としての商売の一環と見なされます。テキ屋の営みの中で大道詰将棋を扱うこともあったようです。テキ屋出身でない詰将棋屋も、相互関係を築くためにテキ屋団体と協力することがありました。

作者とその作品

大道詰将棋の問題の多くは詰将棋屋自身によって作成されていましたが、時には著名な将棋指しによる作成された問題も用意されています。歴史的な棋士の大橋宗桂などの問題が出題されることもありました。けれども最近では、プロ棋士が大道詰将棋問題を作成することは禁止されています。

通常の詰将棋との違い

大道詰将棋のルールは通常の詰将棋と基本的には同じです。王手を連続で行いながら玉を詰め、それを解くことが目的です。客は詰将棋屋が指した手によって進行し、正しい詰手順を追う形で解くことになります。しかし、その中には受け側が多くの妙手を持っているという特徴があります。このため、利用者が誤った思い込みで手を出すことがあり、大金を失うことが少なくありません。

また創作においては、通常の詰将棋には認められない余詰や駒余りが許可されることもあります。紛れを増やすために無関係な駒（飾り駒）の配置がなされるケースも珍しくありません。

主な問題とそのタイプ

大道詰将棋には、いくつかの代表的な問題パターンが存在します。最も多いのは香歩問題で、持ち駒として香車と歩兵を持つ形で出題されます。また、銀将を持つ銀問題や金将を持つ金問題、さらには持ち駒に歩兵がある歩問題などもあります。

例えば、香歩問題では、持ち駒が香車と歩兵で、特定の形配置が作られます。そして、問題は盤面の左側に配置されることが多く、易しい詰みを見せかけれるように手順が組まれています。

おわりに

大道詰将棋は、道端の一コマから生まれた日本特有の文化です。それは単なるゲームの域を超え、多くの人々が楽しむ歴史的な背景を持つものであり、さまざまな問題の発展にも寄与しています。今ではほとんど見かけなくなったものの、その魅力は消えてはいません。

もう一度検索