大野更紗

大野 更紗について

大野 更紗（おおの さらさ）は、1984年に福島県で生まれた日本の作家および研究者であり、主に医療社会学や歴史社会学、難病医療政策史を専門としています。彼女の本名は渡部沙織（わたなべ さおり）で、博士号を持つ学者としても知られています。

研究者としての経歴と専門性

大野は、医療社会学を中心に、難病医療政策のメカニズムを解明することを主題に研究を進めています。特に焦点を当てているのは、戦後の日本における難病医療政策の変遷や、その影響を受ける患者たちの社会的な負担です。

近年では、希少性や難治性の医療倫理・法的問題、患者が研究に参加する重要性、さらには遺伝的市民権に関する実証的な研究にも取り組んでいます。こうした活動は、彼女が難病を持つ患者と社会との関係性を探求する中で培った視点に基づいています。

学歴とさまざまな活動の歩み

学歴は、福島県立安積女子高等学校を卒業後、上智大学の外国語学部フランス語学科に進学し、卒業しました。在学中にミャンマーの難民支援活動に興味を持ち、NGO活動に参加したことが、彼女の研究志向を根付かせるきっかけとなりました。その後、上智大学大学院に進み、地域研究を専攻して博士前期課程を修了しました。

2008年には、自己免疫疾患である皮膚筋炎を発症したことで、彼女の作家としての道が開かれました。この闘病体験をもとに書かれた『困ってるひと』は、多くの読者に支持され、ベストセラーとなりました。彼女はこの作品で新潮ドキュメント賞にノミネートされるなど、作家としての評価も高めています。

2011年の東日本大震災においては、母方の実家が影響を受けたことで、多くの親族が避難を余儀なくされるという経験もありました。この経験は、彼女の研究及び著作にさらに深い洞察を与えていると言えます。

現在の活動と受賞歴

大学院での研究を続ける中、2018年には東京大学において日本学術振興会特別研究員として活動を開始し、時間を経て医科学研究所で特任研究員としても活躍を続けています。このように、現在は主に研究者としての活動に注力しており、作家としての作品発表は比較的少なくなっています。

受賞歴としては、第5回わたくし、つまりNobody賞や、第8回日本学術振興会育志賞を受賞しており、彼女の研究や著作に対する評価が高まっています。

著作と伝えたいメッセージ

彼女の著作には、特に難病についての理解を深めることを目的としたタイトルが多く、社会における医療や患者の位置づけについて強いメッセージを氏してきました。彼女の活動は、教育や社会保障、医療政策の改善を目指す重要な参考となっています。大野更紗は、社会の中で医療が果たす役割について考え、患者たちが直面している現実を見つめ続けています。

もう一度検索